2019 Fiscal Year Research-status Report
網膜神経節細胞におけるIL-6/sIL-6とアデノシンシグナルの相互作用の意義
Project/Area Number |
19K18847
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中島 圭一 熊本大学, 病院, 特任助教 (90836339)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 網膜神経節細胞 / 緑内障 / インターロイキン-6 / 可用性インターロイキン-6 / アデノシン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑内障は本邦において中途失明原因の第1位であり、緑内障の克服はQuality of Lifeの改善のみならず、社会経済的にも重要である。現在、緑内障の治療方針は眼圧下降であるが、眼圧は良好であるにも関わらず視野障害が進行する症例や、既存治療では眼圧コントロールが困難な症例など、治療に難渋する症例は多く、緑内障の本態である網神経経節細胞(RGC)へアプローチする治療の確立が急務である。緑内障において、RGCの細胞体が生存していれば、軸索の再生を誘導することで視野障害の進行を抑制できる可能性がある。我々はラット網膜神経節細胞において、Akt依存的なアデノシンA3受容体の活性化が軸索伸長に必須であることを明らかにしてきた。本研究は、炎症性サイトカインの一つであるInterleukin (IL)-6に注目し、軸索伸長・再生のメカニズム、アデノシン受容体との相関関係を解明していくことである。今年度、我々は生後8日のラットより採取した純度の高い網膜神経節細胞(RGC)にIL-6と可用性IL-6(sIL-6)を添加することによりRGC軸索伸長が促進されることを明らかにした。今後は各アデノシン受容体の活性の有無によるRGC軸索伸長への影響およびIL-6/IL-6sとの相互作用を遊離RGCを用いて検討する。また、視神経挫滅モデルを用いて、IL-6の発現を免疫染色で確認。sIL-6阻害薬などを硝子体腔に投与し、軸索伸長への影響を評価する予定である
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IL-6の作用は主にシグナル伝達物質であるSTAT3によるとされている.我々は用いるIL-6添加により線維芽細胞におけるpSTATが染色されるか、免疫染色にて確認することができた。 網膜神経節細胞(RGC)を生後8日のラットより2-step immunopanning法により採取。IL-6とsIL-6を100ng/ml添加した群では有意に軸索伸長が促進されていることを確認した。網膜神経節細胞採取量がバラツキが生じやすく、安定した結果を得るのに時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は遊離RGCの軸索伸長に対して、アデノシン受容体アゴニストおよびアンタゴニスト添加が及ぼす影響を検討する。また、IL-6/sIL-6との供処理とシグナル経路の解析を行う。 in vivoでは視神経挫滅モデルを用いてIL-6の発現を免疫染色などで確認する。また、硝子体腔にIL-6/sIL-6、アデノシン受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、sIL-6受容体阻害薬などを投与し軸索伸長への影響を評価する
|
Research Products
(7 results)