2019 Fiscal Year Research-status Report
高脂肪食による視覚障害モデルを用いた加齢黄斑変性に対する新規神経保護治療の解析
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19K18852
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
園部 秀樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00815821)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 加齢黄斑変性 / 失明 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢黄斑変性(age-related macular degeneration; AMD)は、眼底の中心である黄斑に病変を生じるため、重篤な視力障害をきたし、Quality of Vision (QOV)を侵し、患者本人や介護者などのQuality of life (QOL) を脅かす。先進国における主要な失明原因の1つであり、先進国の失明原因の上位を占め、加齢(老化)とともに進行することから、現代の高齢化社会においては世界的な社会問題である。新生血管からの滲出性変化による滲出型AMDは、抗血管内皮増殖因子(抗vascular endothelial growth factor; 抗VEGF)療法で治療されるが、原因不明であり、両眼性で徐々に進行する萎縮型AMDの治療法は現時点では世界的に無い。喫煙とメタボリックシンドローム(Clemons et al. Ophthalmology 2005)がリスクといわれるが病態に関連するメカニズムは不明であり、介入法の開発は世界的にできていない。そこで、高脂肪食を継続して摂取させたメタボリックシンドロームモデルマウスを作製し、その網膜病変を解析することで本マウスがAMDモデルとなるかを研究する。そして、最終的にはメタボリックドミノの関連分子の制御による介入法を行い、その効果を解析する。これにより新規で世界初の萎縮型AMD進行予防治療への応用を目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は、野生型マウスに対し、日本クレア社が販売する脂肪を32%含む高脂肪餌を連日摂取させることで、高脂肪食マウスを作製し、その全身状態の確認を行った。なお、コントロールマウスには日本クレア社が販売する脂肪が4.6%含まれる通常餌を摂取させた。高脂肪食マウスでは、明らかに体重が増加して肥満の状態となり、血糖は糖尿病の基準を満たしてはいないがやや上がることを確認した。すなわちメタボリックシンドロームであることを確認した。また、この状態で網膜電図による視機能測定をしたところ、明らかに低下していることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
これからは、この高脂肪食マウスがAMDの表現型の一端を示すかを解析する。網膜や網膜色素上皮における組織学的変化および分子発現の変化を解析する。そのために網膜切片を作製して免疫染色を行ったり、網膜サンプルにおけるリアルタイムPCRやウエスタンブロットを行ったりすることで解析する。高脂肪食の継続摂取が網膜や網膜色素上皮の変性を引き起こすかを解析するとともに、メタボリックドミノに関連する分子の変化も解析する。これによりモデルの確立と病態メカニズムの解析に迫る研究を行い、将来の新規治療法補開発につなげる。
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