2019 Fiscal Year Research-status Report
水晶体におけるデコリンの上皮間葉系移行抑制効果と水晶体再生への影響
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19K18860
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
柴田 伸亮 (稲垣伸亮) 金沢医科大学, 医学部, 助教 (30440514)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | デコリン / 水晶体 / 後発白内障 / 水晶体再生 / 上皮間葉系移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、ラット水晶体摘出術後の後発白内障(PCO)モデルにおいて、網羅的な遺伝子解析(DNAマイクロアレイ解析)を行った結果、PCOでプロテオグリカンの1つであるデコリン(DCN)が高発現であることを見出した。また、上皮間葉系移行(EMT)に関与する遺伝子群の上昇と、遅れて水晶体線維の分化に関与する遺伝子群の上昇が生じることがわかった。また、ヒト前房水中にもDCN が検出された。LEC DCN遺伝子発現量と前房水DCN濃度は年齢や水晶体混濁病型及び混濁程度に関わらず様々な値を認めた。 また、水晶体上皮細胞の培養細胞実験において、培養ヒトLEC、マウスLEC共に、FGF2添加により濃度依存的にDCN mRNA発現が増加し、TGFβ2添加によりDCN mRNA発現は低下を認めた。また、DCN添加によりLEC生細胞の増殖能の亢進や減少は認めないことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DCN過剰発現が水晶体組織の発生・分化に与える影響を解析した。 DCNを水晶体特異的に発現させるため、クリスタリン-Pax6 promoterにDCN遺伝子をつないだ発現ベクターを使用してDCNトランスジェニックマウス(Tg)を作成した。水晶体と眼球組織の変化を観察したところ、野生型マウスの水晶体と比較して組織変化は観察されなかった。 また、GFP-DCNレンチウィルスベクターにてDCNを過剰発現させた培養不死化ヒト水晶体上皮細胞(LEC)に、上皮間葉系移行(EMT)を誘導(TGFβ、FGF2添加)させ、EMT関連遺伝子(Tropomyosin: Tpm1)の発現変化をreal time PCR法で解析した。GFP-DCNを過剰発現させたヒトLECでは、コントロールと比較して、TGFβ添加に誘導されるTpm1の発現上昇の抑制を認めた。 DCNの過剰発現は、マウス水晶体分化には悪影響を与えず、LECのEMTを抑制する可能性が推測された。
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Strategy for Future Research Activity |
・DCN Tgマウスの水晶体器官培養系をもちいたTGFβに誘導される前嚢下混濁(ASC)の抑制効果を検討する。 ・DCN Tgマウスの水晶体創傷モデルを用いた、DCNの創傷治癒効果の解析を行う。 同時に片眼はタンパク質を抽出し、EMTマーカーである抗αSMA抗体を用いたプロテインブロットを施行し、LECのEMTに関与する因子の発現変化を測定解析する。 ・DCN TgマウスのPCOモデルを用いたPCO抑制効果、水晶体再生への影響の解析を行う。同時に、片眼はタンパク質を抽出し、EMTマーカーである抗αSMA抗体を用いたプロテインブロットを施行し、LECのEMTに関与する因子の発現変化を測定解析する。
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Causes of Carryover |
動物実験の計画が次年度にまたがったため
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Research Products
(1 results)