2022 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児を対象とした視線計測装置による新たな視力検査法の開発
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19K18862
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
米田 剛 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 准教授 (80389014)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視線解析装置 / 他覚的visual acuity test / 視線停留率 / 乳幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乳幼児を対象にした他覚的な視力検査機器の開発を実施している。一般的な視力検査は自覚的な応答によって測定されるが、乳幼児など応答が困難な場合では、眼球運動による眼の動きや脳波などの他覚的な判定方法が用いられている。しかし、乳幼児の目の動きを検者が判定することは、検者間によって判断の基準が異なるため判定にばらつきが生じるため、検査結果の再現性や信頼性に問題がある。また、紙媒体で視標を提示するため、1枚1枚を手作業で実施ることで、検査時間が長くなり、乳幼児の集中力が持たないといった問題も指摘されている。 そこで、本研究では視線の動きを視線解析装置によって評価することで、検者間の誤差のばらつきを無くし、検査時間の短縮も図れることから乳幼児の視機能障害の見落としを減らすことを目的に研究を開始した。 2021年度の研究実績は、2020年に第76回日本弱視斜視学会総会で発表した内容を踏まえ、日本視能訓練士協会誌へ論文を投稿した。論文の内容は、有志願者の成人20名を対象に、現在の乳幼児の視力検査のスタンダードであるTeller acuity card(TAC)と視線解析装置による視力検査の視力値を比較することであった。結果は、両者は正の相関を示し、視線解析装置を用いた視力検査は、乳幼児の視機能評価に有用であることを確認することができた。 この報告を踏まえ、今後乳幼児に対して、本装置による視力検査を実施することを想定し、視線位置と停留率から自動的に視力を測定する新たなプログラムを作成し、特許を出願するに至った。 2022年度では、特許を出願したプログラムを用いて有志願者の成人20名を対象に、TACによる視力検査と視力値の比較を実施したところ、両者は正の相関を示すことがわかり、乳幼児の視機能評価に有用なプログラムを開発することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2019年度には乳幼児で視線解析装置による視力検査を実施する予定であったが、2019年度の進捗状況で報告した通り、新型コロナウイルス感染症の影響や依頼した企業の業務の都合上延期となり、乳幼児で測定する際に必要なプログラムの作成が2020年度に変更になった。 そのため、2020年度の到達目標を被検者がみている視線の位置と停留率から自動的に視力を判断できるプログラムを構築し視線解析装置に組み込むことに変更した。この到達目標については、2020年度中にプログラムを構築し企業へ依頼し作成することができた。また、2021年度には自動視力検査プログラムの特許を出願できたため、2022年度には自動視力検査プログラムでTACとの比較実験を実施しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の到達目標は、特許を出願した自動視力検査のプログラムを使用し、乳幼児を対象にTACとの視力を比較し、相関関係について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度の残金は719,370円であった。これは、新型コロナウイルス感染症蔓延のため、乳幼児に対する研究が進まなかったことが一因にある。令和5年度では、乳幼児への臨床研究の実施ならびに視線解析装置への自動視力検査プログラムの実装を踏まえたPCやプログラムの費用に使用するとともに、乳幼児への研究の謝礼に使用する。
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