2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of optimal cell preparation for maximizing post-transplant function
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19K18864
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小出 直史 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 客員研究員 (40714126)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 再生医療 / 網膜色素上皮 / 移植剤型 / 品質管理 / 細胞選別 / 移植手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生医療の早期実用化に向けて、これまで臨床研究を進めてきた中で、1)移植用細胞の有効性向上、2)移植先の選定(対象疾患や原疾患環境の言語化)の両面を向上させていくことが重要であることがわかっている。①について: 昨年度、移植用細胞の生存判定について非侵襲非接触型のイメージングサイトメーターを応用したフィージビリティを確認した。本年度は製剤化の一手段として網膜シートを効率的に作製するために、ES/iPS細胞から分化誘導した網膜オルガノイド中にある特定の網膜前駆細胞を、抗体などのマーカーを用いずに非侵襲非接触条件下で、識別・分取することを目標とし、イメージングサイトメーター技術をもつ(株)シンクサイト社のゴーストサイトメトリーを用いた研究を行った。ゴーストサイトメトリーに搭載されているAIが網膜前駆細胞を学習するために必要な教師細胞として、網膜前駆細胞マーカーであるRX遺伝子の下流に蛍光タンパクVenus遺伝子をノックインしたES細胞株(RX_Venus株)を用いた。RX_Venus株から作製した網膜オルガノイドを分散し、Venusタンパク質の蛍光を教師ラベルに用いて網膜前駆細胞(Venus陽性細胞)とその他の細胞(Venus陰性細胞)を学習させた。学習後、事前情報無しに分散した細胞を判別させ、Venusシグナルをもとに正誤判定した。それらの結果、生成されたアルゴリズムは精度良く網膜前駆細胞(Venus陽性)を判別することができた。②について: 滲出型加齢黄斑変性を対象とした臨床研究を通して、手術時の技術的困難さ、細胞懸濁液のコントロール性等たくさんの課題を抽出した。対象疾患の再検討、添加物を含む移植細胞の製剤化、および手術技術と術後管理を総合的に検討し、有効性を確保できる可能性の高い移植手術における治療戦略を専門医・研究者と連携して議論を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①について: 網膜色素上皮の生存率の非接触非侵襲判定のフィージビリティ確認に続き、より複雑な移植用細胞の製造実現に向けて網膜シートを題材に、ES/iPS細胞から分化誘導した網膜オルガノイド中にある特定の網膜前駆細胞を効率的に分取することを目標にイメージングサイトメーターによるフィージビリティスタディを実施した。イメージングサイトメーターに搭載されている画像判定用のAIに対して、網膜前駆細胞を学習するために必要な教師サンプルとして、網膜前駆細胞マーカーであるRX遺伝子の下流に蛍光タンパクVenus遺伝子をノックインしたES細胞株(RX_Venus株)より分化誘導した網膜オルガノイドを用いた。RX_Venus株から作製した網膜オルガノイドを分散し、Venusタンパク質の蛍光を指標に網膜前駆細胞(Venus陽性細胞)とその他の細胞(Venus陰性細胞)の判別を試みた。学習後、事前情報無しに分散した細胞を用いて、Venusシグナルをもとに正誤判定した。それらの結果、機械学習を経て生成されたアルゴリズムは精度良く網膜前駆細胞(Venus陽性)を判別できていることが確認できた。 ②について: 滲出型加齢黄斑変性を対象とした臨床研究を通して、手術時の技術的困難さ、細胞懸濁液のコントロール性等たくさんの課題を抽出した。対象疾患の再検討、添加物を含む移植細胞の製剤化、および手術技術と術後管理を総合的に検討し、有効性を確保できる可能性の高い移植手術における治療戦略を専門医・研究者と連携して議論を重ねた。
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Strategy for Future Research Activity |
再生医療の早期実用化に向けて、これまで臨床研究を進めてきた中で、1)移植用細胞の有効性向上、2)移植先の選定(対象疾患や原疾患環境の言語化)の両面を向上させていくことが重要であることがわかっている。 ①について:有効性最大化に向けて移植直前の移植用細胞の生存判定および細胞製造における目的細胞の判定・分取について、イメージングサイトメーターを用いたフィージビリティスタディを実施した。機械学習を用いた抗体等のマーカー非染色下における目的細胞判定技術の研究開発並びに実用化を加速させるために企業等と連携した検討を推進する。また、これまで原理検証レベルの実験結果について、技術レベルや再現性を含めた精緻化を進める。臨床研究等で利用するまでにはステップが少なくないが、非染色細胞選別技術は臨床用に止まらずラボレベルでも広く応用可能であるため基礎研究の効率化も視野に開発を進める。 ②について: 滲出型加齢黄斑変性を対象とした臨床研究を通して、手術時の技術的困難さ、細胞懸濁液のコントロール性等たくさんの課題を抽出した。対象疾患の再検討、添加物を含む移植細胞の製剤化、および手術技術と術後管理を総合的に検討し、有効性を確保できる可能性の高い移植手術における治療戦略を専門医・研究者と連携して継続して議論を重ねていく。
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Causes of Carryover |
細胞移植による有効性の最大化に向けて、移植直前の移植用細胞の生存判定および細胞製造における目的細胞の判定・分取について、イメージングサイトメーターを用いたフィージビリティスタディを実施してきた。機械学習を用いた非染色下における目的細胞判定技術の研究開発並びに実用化について引き続き企業等との連携を加速させる。具体的には、これまで原理検証レベルの実験結果について、技術レベル向上や再現性確認を含めた精緻化を進める。現時点では臨床で活用させる細胞製造に対応できる環境になかったため、ラボレベルに止まらず臨床研究等で利活用できるような基礎データの取得を進める。また、機器自体の臨床対応等についても調査と開発要件の議論を本格化させる。それらのためにサンプル細胞の準備にかかる細胞培養用品等の消耗品経費やデータ分析のためのデバイス等に予算を当てる予定である。また、臨床チームとの連携においてはデバイスの試作やデータ分析などで支援を行い、技術要件の課題抽出や議論を推進させることに務める。
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Research Products
(6 results)