2019 Fiscal Year Research-status Report
眼表面摩擦関連疾患における角膜上皮細胞アンギオポエチン様蛋白4の役割解明
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19K18865
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
宇都宮 嗣了 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (50646065)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 角膜上皮 / ドライアイ / シェアストレス / ANGPTL |
Outline of Annual Research Achievements |
涙腺摘出や乾燥環境負荷などin vivoのドライアイモデルは多く存在するが、それらのモデルでは摩擦だけでなく炎症や浸透圧亢進など様々な要因が加わってしまい、実験結果の解釈を複雑にしてしまう。in vitroの実験モデルではそれらの因子は排除出来るが、定量的な実験を行うには特殊な実験系の構築が必要である。我々は平行平板型流れ負荷装置を用いた水流シェアストレスによって培養細胞に定量的に長時間にわたって機械的刺激を負荷する実験系を確立しており、この手法を培養ヒト角膜上皮細胞に応用し、瞬目の摩擦による角膜上皮への慢性的な機械的刺激を再現した。 網羅的遺伝子解析を行ったところ、シェアストレスを負荷した角膜上皮細胞では様々な遺伝子発現が変化していたが、ANGPTL4(アンギオポエチン様蛋白4)の遺伝子発現が圧倒的に上昇していた。シェアストレスを負荷した角膜上皮細胞ではWBにてANGPTL4蛋白も増加することがわかった。マウス角膜の免疫染色において角膜上皮にはANGPTL4が高発現していることもわかった。現在のところ実際の生体角膜におけるANGPTL4の役割は不明であるが、マウス角膜の免疫染色においても角膜上皮にANGPTL4が高発現していることから、ANGPTL4は角膜上皮において何らかの機能を持っている蛋白であることが示唆される。 また、線維柱帯細胞への房水の流れに着目し、水流機械刺激を細胞に与えると線維柱帯細胞から分泌されるコラーゲン、フィブロネクチン量を低下させることを見出した。水流機械刺激を与えたヒト線維柱帯細胞の遺伝子発現解析の結果、ECM発現を促進するTGFβ2の発現低下やECM分解を促進するMMP-2発現上昇を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度は臨床業務に多忙であったため、当初の実験計画より大幅に遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
乾燥環境負荷などin vivoのドライアイモデルにおける角膜上皮のANGPTL4の変化を確認し、ANGPTL4 KOマウスへの乾燥環境負荷などを行うなどして、角膜におけるANGPTL4およびその情報伝達系の役割を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
臨床業務に多忙で実験が予定より遅延しているため、予定より使用額が少なくなった。 予定していた実験を次年度以降に行うため、次年度以降に使用する予定である。
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