2019 Fiscal Year Research-status Report
未熟児網膜症モデルへの抗VEGF薬投与による、血清VEGFおよび反対眼への影響
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19K18877
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
一山 悠介 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10749021)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 未熟児網膜症 / 抗VEGF薬 / アフリベルセプト / 反対眼 / 全身への影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
未熟児網膜症のモデルマウスである酸素誘導網膜症に対して、片眼にアフリベルセプト0.02mg/0.05µl(IVA群)、もしくはPBS 0.05µl(PBS群)を硝子体内投与した。 硝子体投与後の体重成長を比較したところ、投与後1日目でIVA群がPBS群と比較して有意に成長不良であったが、2日目以降は2群間の体重成長に有意差を認めなかった。このことから、アフリベルセプト硝子体投与は非常に短期間であるが全身の成長に影響を及ぼし得ることが分かった。 さらにアフリベルセプト硝子体投与による体重成長への影響が、投与量によって変化するのかを検討するために、アフリベルセプトを5倍希釈や10倍希釈して硝子体内に投与し、その後の体重成長を検討した。その結果、アフリベルセプト硝子体投与による体重成長への影響は容量依存性であることが分かった。 つづいて本研究の主目的であるアフリベルセプト硝子体投与の反対眼への影響を検討するために、投与眼および反対眼の網膜ホールマウントを作成、撮影した網膜血管画像を定量解析した。その結果、投与眼では投与後2日目、4日目ともにPBS群と比較してIVA群で有意に異常血管面積が減少し、血管蛇行の程度も改善していた。それに対して反対眼では、投与後2日目ではPBS群と比較してIVA群で有意に異常血管面積は減少し、血管蛇行の程度も改善していたが、投与後4日目になると両群間に有意差は認めなかった。 以上のことから、アフリベルセプトを硝子体に投与すると、短期間ではあるが血行性に全身の成長を阻害し、反対眼においても薬効を発揮することが分かった。さらに血行性の全身への影響は容量依存性であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アフリベルセプト硝子体投与による投与眼、反対眼への影響は順調に解析できており、有用な知見が得られている。概ね当初の計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、抗VEGF薬の種類を変更することで投与眼や反対眼への影響が変化するのかを検討する必要があり、ラニビズマブの硝子体内投与による投与眼、反対眼への影響を解析する実験を行う。 さらに、反対眼以外の臓器にも、抗VEGF薬硝子体内投与による血行性の影響が生じる可能性があり、その解析のために抗VEGF薬硝子体内投与後の腎臓や脳の血管構造も観察する予定である。
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Causes of Carryover |
実験計画の段階では、未熟児網膜症モデルマウスにおける抗VEGF薬硝子体内投与後の血清VEGF濃度推移の解析は2019年度に行う予定であったが、想定よりも実験の条件検討に時間がかかっており、同研究は2020年度に持ち越しとした。よってその分の研究費が繰り越しとなった。
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Research Products
(1 results)