2020 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム膜タンパクLAMP2の機能に着目した加齢黄斑変性の初期病態モデルの開発
Project/Area Number |
19K18880
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
納富 昭司 九州大学, 大学病院, 助教 (10836563)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 加齢黄斑変性 / リソソーム / LAMP2 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢黄斑変性(AMD)は網膜の中心部である黄斑部に変性が生じる疾患で、50歳以上の中高年における 重要な視覚障害の原因である。初期病変として網膜色素上皮細胞(RPE)の基底膜下にドルーゼンと呼ばれる脂質を含む老廃物の沈着が生じる。ドルーゼンの出現に伴い、網膜と脈絡膜の変性萎縮が進行し、後期AMDになると脈絡膜血管新生が生じて網膜視細胞が障害される。近年、 抗血管内皮細胞増殖因子薬の眼内投与により、脈絡膜新生血管を制御する治療が可能に なったが、初期病変として見られるドルーゼンについては明確な介入治療はない。RPEは光受容を担う網膜視細胞の老廃物を貪食して分解するという役割を担っており、RPEの リソソーム機能は網膜の恒常性維持にとって重要と考えられる。我々は、加齢により減少するリソソーム膜タンパクLAMP2に着目し、AMDにおけるLAMP2の役割を検討する研究計画を立てた。まずヒト眼組織標本を用いた検討で、AMD患者では健常者と比較しRPEにおけるLAMP2の発現が減少している事を明らかにした。次に、LAMP2欠損マウスの表現型を解析した ところ、野生型では見られないようなドルーゼンに類似した老廃物が蓄積する事を示した。加齢はAMD発症の最も有意なリスク因子であるが、なぜ加齢がドルーゼンなどのAMD初期病変を生じさせるのか不明であった。我々の研究結果により、加齢に伴うLAMP2 減少がAMD初期病変に関与している事とLAMP2欠損マウスがドルーゼンの病態解明に有用な 動物モデルである事が示された。
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