2020 Fiscal Year Annual Research Report
細菌性角膜炎における角膜リンパ管新生誘導による新規治療法の開発
Project/Area Number |
19K18892
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
成松 明知 東京医科大学, 医学部, 助教 (20617625)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リンパ管新生 / 細菌性角膜炎 / マクロファージ / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、角膜リンパ管を誘導することで、細菌性角膜炎後の角膜混濁を防ぐ新しい治療法を開発することである。そのためには、血管新生を伴わないマウス角膜リンパ管新生増生モデルを確立し、リンパ管を誘導した際に、細菌性角膜炎にどのような影響を及ぼすのかを正確に評価しなければならない。研究代表者は最初に、角膜リンパ管新生増生モデルおよび評価法について検討した。マウス角膜の中央部を眼科用マイクロサージェリーナイフで穿孔することにより角膜内皮から急性の浮腫を起こすことで血管新生を伴わないリンパ管新生を起こすことが報告されている(Hos et al. Sci. Rep. 2017.)。しかし、既報のモデルでは角膜内皮に障害が及ぶため、リンパ管増生後の細菌性角膜炎モデルへの応用は難しい。そこで研究代表者は、このモデルを応用し、マウスの角膜実質浅層に34ゲージ注射針でPBSを注射し、角膜浮腫を誘発することにより角膜内皮の障害を起こさない、かつ血管新生を伴わないリンパ管増生モデルを作成した。C57BL/6マウスの角膜実質にPBSを浮腫が角膜全面に及ぶまで注入し、注射後7日後に角膜を採取、免疫染色を施行することにより血管、リンパ管の進展を評価した。その結果、角膜穿孔を起こさずに、既報と同じく血管新生を伴わないリンパ管新生が観察された。しかしながら、その後の検討を重ねるうちに、PBSによる浮腫作成のモデルでは、角膜混濁をきたす例が散見されたことから、溶液を生理食塩水に変更し、注射14日後に同様の方法で評価した。その結果、血管新生および角膜混濁をきたさないリンパ管増生モデルを確立した。さらに、この浮腫によるリンパ管増生モデルのリンパ管の形状が、炎症によって引き起こされるリンパ管と形状が異なっていることを確認した。
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