2021 Fiscal Year Annual Research Report
キマ-ゼを介した甲状腺眼症における眼窩内組織線維化の解析
Project/Area Number |
19K18896
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
三村 真士 大阪医科薬科大学, 医学部, 非常勤講師 (90733436)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Chymase / 眼窩脂肪 / バセドウ病モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、甲状腺眼症に対してChymase阻害剤を用いた分子標的療法の可能性を模索するため、実験動物モデルと、手術時に採取したヒト眼窩軟部組織を用いて検討を開始した。1:遺伝子導入BALC/cマウスを用いて甲状腺眼症の動物モデルを作成し、眼窩軟部組織にChymase活性を調べ、さらにChymase阻害剤を投与し、TGF-βやMMP9の活性化抑制作用を評価する、2:甲状腺眼症の手術時に切除したヒト眼窩内組織を用い、組織内でのchymase活性を測定し検討する、という、基礎および臨床研究を行った。 しかし、既報に従って作成したhTSHRの遺伝子導入BALC/cマウスにおいて、甲状腺機能亢進症を発症するも眼部の 変化に乏しく、研究に必要な十分なモデルを作成できなかった。そこで、新たなhTSHR289Hi遺伝子導入を試みたが、同様に研究に必要な甲状腺眼症のモデルを作成するまでに至らなかった。 また、並行して行っていた甲状腺眼症患者におけるヒト眼窩脂肪組織の解析については、サンプル(甲状腺眼症:13、control:7)を使用して脂肪組織の解析(眼窩線維芽細胞の免疫染色、real time-PCRおよびwestern blot法を用いたchymase、tryptase, およびTGF-βの定量)を行ったが、コントロールに比べて甲状腺眼症患者の眼窩脂肪組織にChymaseが優位に発現しているという結果は得られなかった。 以上の結果より、本研究では甲状腺眼症におけるChymaseの発現は優位に認められるという結論は得られなかった。 しかし、1:さらに確立した動物モデルの作成をトライすること、2:今回の臨床データより算出した検出力の計算結果からサンプル数を24に設定すること、を今後の検討課題として引き続き研究を続けていく。
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