2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K18900
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
吉田 倫子 佐賀大学, 医学部, 特任教授 (70725853)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に引き続き、網膜色素変性(RP)患者の臨床サンプル及び臨床データを用いて酸化ストレスとRPの重症度や病気の進行との関与を検討し、新たなバイオマーカーを同定することを目的とした研究を行った。 1.RP患者の末梢血中の酸化ストレスマーカーの解析と臨床所見との関与の検討 RP患者の血液サンプルを用いて、スーパーオキシドジスムターゼ3(SOD3)活性測定に加えてELISA法による8-oxo-dG、ニトロチロシン及びマロンジアルデヒド等の酸化ストレスマーカーの定量解析を行った。その結果、黄斑病変を伴う重度の網膜変性群では軽度の網膜変性群と比較して血清SOD3活性は有意に低下していたため、血清SOD3活性はRPの重症度に関与している可能性が示唆された。2020年度は、酸化ストレスマーカーと、視機能検査及び前房フレア値等の臨床所見との相関性の検討を開始した。バイオマーカーとしての可能性についての検証結果の詳細については次年度以降に報告予定である。 2.RP患者の前房水及び硝子体中の酸化ストレスマーカーの解析と臨床所見との関与の検討 前房水及び硝子体サンプルは、臨床手術適応のある症例など採取が可能な症例が限定されるうえ、採取が可能なサンプル量も極少量である。2019年度に引き続き、RP患者の白内障手術及び硝子体手術時に前房水及び硝子体サンプルを採取しその蓄積を行った。臨床サンプルの準備が整った段階で酸化ストレスマーカーの定量解析を行い、酸化ストレスマーカーと臨床所見との相関性について検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度はCOVID-19の世界的な流行拡大により、研究を取り巻く環境に劇的な変化があった。外来受診の制限及び白内障手術を含めた各種手術の延期により、本研究のために必要である臨床サンプルの採取及び蓄積が困難であった。また、COVID-19対応の優先や在宅勤務の推奨等による勤務体制の変化により、研究実施そのものが困難であった。 したがって、当初の研究計画で2020年度に予定していた大半の研究の実施は極めて困難な状況であり、次年度以降に延期する必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の世界的な流行拡大による研究環境の劇的な変化の影響は、2021年度も完全には解消されないことが予測される。当初の研究計画で2020年度に予定していた大半の研究の実施は2021年度以降へと延期している。したがって、研究実施体制の再構築を含めた対策を講じたうえで研究を遂行する必要がある。 1.RP患者の末梢血中の酸化ストレスマーカーの解析と臨床所見との関与の検討 連携する九州大学病院眼科では700名以上のRP患者を定期的に経過観察してきた実績があり、臨床サンプル及び臨床データは十分に蓄積しており臨床所見を解析する体制も整っている。2020年度に引き続き、酸化ストレスマーカーと臨床データとの相関性を検討し、バイオマーカーとしての可能性について検証する。 2.RP患者の前房水及び硝子体中の酸化ストレスマーカーの解析と臨床所見との関与の検討 現在はRP患者の白内障手術及び硝子体手術時に前房水及び硝子体サンプルを採取しその蓄積を行っている。臨床サンプルの準備が整った段階で酸化ストレスマーカーの定量解析を行い、酸化ストレスマーカーと臨床所見との相関性について検討予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度はCOVID-19の世界的な流行拡大による研究環境の劇的な変化により、研究実施そのものが極めて困難な状況であった。2021年度もCOVID-19による影響は完全には解消されないことが予測されるものの、研究実施体制の再構築を図り、延期が必要となった研究を含めて当初の研究計画で予定していた研究の遂行を目指す。
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