2021 Fiscal Year Research-status Report
慢性創傷に対するb-FGF遺伝子搭載センダイウイルスを用いた遺伝子治療の確立
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19K18904
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
緒方 英之 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60646024)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性創傷 / Werner症候群 / 創傷治癒 / 難治性皮膚潰瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性創傷に対するb-FGF導入センダイウイルスの使用を検討する準備として慢性創傷がなぜ生じるか、メカニズムを解明する必要があった。そこで前年度に引き続き慢性皮膚潰瘍を生じる疾患としてWerner症候群の潰瘍部皮膚組織の分析を行った。Werner症候群における潰瘍は軟部組織の石灰化が原因として考えられているが、前年度までの研究により潰瘍周囲ではリンパ管内に石灰化が生じていることが判明し、さらにリンパ管拡張障害や、未成熟なリンパ管の増殖が観察された。リンパ管の異常が石灰化、潰瘍化の原因となっていることが明らかとなった。令和3年度はさらにこれらの研究を推し進め、Werner症候群原因遺伝子であるWRNがリンパ管内皮細胞で高発現していることを発見した。これは異常蛋白の蓄積がリンパ管内細胞に何らかの障害を生じていることを示唆するものであった。すなわちWerner症候群患者で生じている石灰化や潰瘍にはリンパ管老化が関与していると考えられた。これらの内容は論文にまとめられ、老年医学の雑誌であるAgingに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、施設使用やマンパワーに制限がかかってしまっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
Werner症候群の研究で明らかにされた創傷治癒遅延のメカニズムを他の慢性創傷に対する治療に応用し、成長因子による治癒促進を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延のため、研究計画の遅延が生じており、次年度に持ち越されました。今後は当初予定されていたこれまでの研究をさらに発展させ、報告していく予定です。
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