2020 Fiscal Year Annual Research Report
乳房再建後における被膜拘縮発生機序の解明および制御法の開拓
Project/Area Number |
19K18923
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 尚之 東北大学, 医学系研究科, 助教 (30569471)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳房再建 / 人工物再建 / ティッシュエキスパンダー / シリコンインプラント / 被膜恐縮 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
人工物による乳房再建は2013年に本邦で保険適応となって以降急激に手術件数が増加している。人工物再建における合併症として、感染などの早期合併症の発生率は3.6%程度とされているが、長期的にみると最も懸念される晩期合併症の一つに被膜拘縮がある。人工物周囲には繊維性の被膜組織が形成されるが、被膜拘縮とは形成された被膜の肥厚および拘縮を起こし、結果として疼痛や再建乳房の変形を引き起こす重篤な合併症である。また被膜拘縮発生のメカニズムや予防法は解明されおらず、過剰な免疫反応やバイオフィルム形成との関連性が指摘されてはいるものの、明確な原因は不明であるのが現状である。 令和2年度は令和元年度に引き続き臨床検体の採取並びにバイオフィルムの検討を行なった。これまでに採取した検体数は43(23症例)であった。組織採取時の挿入デバイスは全例エキスパンダーであり、デバイス挿入期間は平均10.2ヶ月であった。当科におけるバイオフィルム検出率は約51%であり、検出されたのは全例textured typeのエキスパンダー症例であった。本研究によるバイオフィルム検出率は当院でのこれまでの慢性創傷におけるバイオフィルム形成率と同様の結果であったが、エキスパンダーは挿入が比較的短期間であるにも関わらず症例としてのバイオフィルム保有率は約60%という予想を上回る結果であった。これらの結果は第29回日本形成外科学会基礎学術集会に報告した。これらの解析は今後も症例集積を続ける結果であり、現時点まで症例の大半を占めていたtextured typeのエキスパンダーが2019年7月にFDAより自主回収となり、現在はsmooth typeのエキスパンダーのみ使用している現状から、これまで奨励が極めて少なかったsmooth typeの検体との比較検討も行う予定である。
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Research Products
(1 results)