2019 Fiscal Year Research-status Report
象牙芽細胞特異的過リン酸化マウスを用いた象牙質形成促進ペプチドの開発
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19K18944
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣瀬 勝俊 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (00824898)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 象牙質 / リン酸化酵素 / DSPP / Fam20C |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の本質的要素である象牙質では、完成された歯でも細胞が存在し、代謝が維持されている。象牙質の大部分は石灰化物であり、石灰化は象牙芽細胞の産生する象牙質基質を核として起こる。石灰化には、基質のリン酸化が関与していると考えられているが、その詳細に関しては未だ不明な点が多い。本研究では、硬組織に高発現するリン酸化酵素 (キナーゼ) Fam20Cを手掛かりとして、象牙芽細胞がFam20Cを過剰発現する遺伝子改変マウス(Fam20C-Tg)を作製し基質のリン酸化と石灰化の関連を検討する。 Fam20C-Tgマウスでは、野生型マウスと比較して、体重や血清リン濃度、血清カルシウム濃度に変化はみられなかった。免疫組織学的解析により、象牙芽細胞に加えて、セメント芽細胞、歯根膜細胞に外因性Fam20C過剰産生が認められた。また、象牙質におけるリン酸化セリンの免疫反応が増強し、Fam20C-Tgマウスでは象牙質蛋白質のリン酸化が亢進していることが示唆された。 CT解析では、2、4、12、24週齢いずれにおいても、Fam20C-Tgマウスの臼歯の象牙質量低下がみられた。また、mineral densityも有意に減少していた。形態学的解析では、野生型マウスと比較して、Fam20C-Tgマウスの歯根の象牙質量は有意に減少し、未石灰化領域である象牙前質幅が増加していた。また、歯根の象牙芽細胞数は有意に減少していた。歯根の根尖部に着目すると、骨様の硬組織形成がみられ、骨芽細胞系譜のマーカーであるRunx2陽性細胞が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivo解析によるマウスの歯の変化の原因を究明するため、遺伝子発現解析に加えて、Fam20Cによりリン酸化が亢進している蛋白質の同定を試みる。
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Research Products
(4 results)