2021 Fiscal Year Annual Research Report
象牙芽細胞特異的過リン酸化マウスを用いた象牙質形成促進ペプチドの開発
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19K18944
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣瀬 勝俊 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (00824898)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨 / 象牙質 / Fam20C / Dmp1 / DSPP / 酸性リン蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体硬組織である象牙質のうち、約30%は有機質であり、高度にリン酸化された蛋白質が多く含まれている。このリン酸化の一機能として、リン酸化蛋白質は石灰化部位にのみ分布することから、石灰化に関与するのではないかと考えられている。しかし、象牙質に分布する高度にリン酸化された蛋白質の象牙質形成における役割は未だ明らかとされていない。本研究では、硬組織に高発現するリン酸化酵素Fam20C (family with sequence similarity 20C)を手掛かりとして、象牙質におけるリン酸化の役割解明を試みた。 Ⅰ型コラーゲン (2.3kb)のプロモーターを用いて、Fam20Cが象牙芽細胞特異的に過剰発現するマウス (Fam20C-Tg)の歯の解析を行った。歯の網羅的リン酸化蛋白質解析の結果、Fam20C-Tgの象牙質/歯髄では、野生型を比較して、DSPP (dentin sialophosphoprotein)やDmp1 (dentin matrix protein 1)等の象牙質の主要な非コラーゲン性蛋白質を含む様々な蛋白質のリン酸化亢進が明らかとなった。また、12週齢のFam20C-Tgの歯冠象牙質では、野生型と比較して、ミネラル密度の上昇がみられた。一方で、歯根象牙質では、象牙質量の減少およびミネラル密度の低下がみられた。詳細な解析の結果、歯根象牙質は骨様組織に置換されていることが明らかとなった。Fam20C-Tgおよび野生型の歯根形成直前の歯胚(生後6日齢)を腎被膜下に移植した結果、移植30日後では、野生型由来の歯胚で歯根形成がみられるのに対して、Fam20C-Tg由来の歯胚では生体と同様に歯根部に骨様組織の形成がみられた。
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