2020 Fiscal Year Research-status Report
骨細胞のPTH応答性を利用した、新たな骨リモデリング調節因子の探索
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19K18948
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
林田 千代美 明海大学, 歯学部, 助教 (40710900)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度(初年度)の計画に対し、研究の進捗状況がやや遅れた状況で令和2年度(当該年度)が開始した。本研究で行いたいことは、まず、「骨細胞にPTHを作用させた場合に発現の増加する因子があるのか、それは既知の因子か、それとも、PTHの作用により初めてその発現がみられるか亢進するというような未知の因子か、について調べる」ということである。 当該年度は、初年度のうまくいかなかった事象、つまり「In vitroでOEBFs(マウス大腿骨片中に埋まった骨細胞)の培養から得られたRNA量が少ない事象が続いたこと」を脱却する必要があった。そのため、各種独自の実験を繰り返し、文献検索を重ね、動物実験に用いるマウスの種類の変更(マウスの種類によって骨形態が違うため)と、OEBFsのホモジナイズの手法の変更を行った。その結果、培養したOEBFsからRNAをより多く抽出・回収できるようになった。In vitroでOEBFsに対し、PTHを作用させる群とさせない群をつくり1日培養後、OEBFsのRNAを抽出し、Real-time RT-PCR法により、骨細胞に発現する因子として既知のもの(SOST、RANKL、DMP1、FGF23、OPG等)、および、骨代謝に関与することが知られているが骨細胞に関して報告のない因子についてmRNA発現量を調べる実験を繰り返した。その結果、OEBFsにPTHを作用させた場合に発現の増減する因子をいくつか確認することができた。このため、当該年度、本研究の目的の達成に、一歩進んだと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度(初年度)の計画に対し、研究の進捗状況がやや遅れた状況で令和2年度(当該年度)が開始した。例年4月から7月は大学での講義など学生教育業務が集中するため、研究に使える時間が少ないのだが、当該年度はさらに、いわゆるコロナ禍となり、大学教育ではオンライン授業の準備や各種これまでなかったことへの対応に追われた。また、緊急事態宣言中には実験動物の搬入に学内で制限があり、研究用品の納品が遅れるなど、研究環境がきちんと整って実験を開始できたと考えられたのは9月を過ぎてからであった。 当該年度は、初年度のうまくいかなかった事象、つまり「In vitroでOEBFs(マウス大腿骨片中に埋まった骨細胞)の培養から得られたRNA量が少ない事象が続いたこと」を脱却する必要があり、その問題解決に取り組んだ。各種独自の実験を繰り返し、文献検索を重ね、この問題を解決することは概ねできた。そのため、当該年度は、研究が進んだと考えているが、研究全体の進捗状況は、初年度の遅れのため、および、コロナ禍の初期に各種環境が整わず研究が滞った事情によりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度もまだまだ常にコロナ禍の影響があると考えるが、前向きに研究を進める努力をし、今年度には、マイクロアレイ解析を行い、OEBFs(マウス大腿骨片中に埋まった初代骨細胞)にPTHを作用させた場合に発現の増加する因子(既知の因子と、骨細胞に関しては報告のない因子、そしてPTHの作用により初めてその発現のみられるか亢進するというような未知の因子があるのか)について調べる。そしてその結果を踏まえ、PTHに応答して発現の増加した遺伝子すべて(あるいは遺伝子数が多すぎる場合には文献調査等から10個に絞った遺伝子)について、mRNA発現量、タンパク質発現量を調べ、各遺伝子の発現量を比較・検討する。これを進めた後、次の実験段階として、PTHに応答して骨細胞での発現が増加する因子の骨形成促進能と骨吸収抑制能について検討するための実験を行う方策である。
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Causes of Carryover |
令和元年度(初年度)の計画に対し、研究の進捗状況がやや遅れた状況で令和2年度(当該年度)が開始した。初年度の遅れの分の繰り越し額があり、当該年度の研究は進んだが、それでも、コロナ禍で大学の学生教育に割く時間の割合が大幅に増えたこと、コロナ禍の動物搬入や研究用品の納品の遅れなど研究環境が整うのに時間を要したことなどで、研究のきちんとした再開に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。今年度には、マイクロアレイ解析を行い、OEBFs(マウス大腿骨片中に埋まった初代骨細胞)にPTHを作用させた場合に発現の増加する因子(既知の因子と、骨細胞に関しては報告のない因子、そしてPTHの作用により初めてその発現のみられるか亢進するというような未知の因子があるのか)について調べる。そしてその結果を踏まえ、PTHに応答して発現の増加した遺伝子すべて(あるいは遺伝子数が多すぎる場合には文献調査等から10個に絞った遺伝子)について、mRNA発現量、タンパク質発現量を調べ、各遺伝子の発現量を比較・検討する。これを進めた後、次の実験段階として、PTHに応答して骨細胞での発現が増加する因子の骨形成促進能と骨吸収抑制能について検討するための実験を行う方策である。従って、研究を進めることで、翌年度分として請求した金額と合わせて、適切に使用できると考える。
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