2019 Fiscal Year Research-status Report
septoclastの軟骨吸収における異なる脂肪酸結合タンパク発現の意義
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19K18949
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
坂東 康彦 明海大学, 歯学部, 講師 (80735548)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | septoclast / 脂肪酸結合タンパク / 脂肪酸代謝 / 軟骨内骨化 / 骨端板軟骨 / 軟骨吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
septoclastにおけるA-FABPの発現と変動 3週齢C57BL/6系統E-FABPノックアウトマウス(以下KOマウス)とC57BL/6系統ワイルドタイプマウス(以下WTマウス)の脛骨近位骨端板におけるseptoclastの比較検討を行った。まず、E-FABP欠損の骨成長への影響を調べるためにKOマウスとWTマウスの脛骨形態をマイクロCTにより測定し比較検討し、膝関節の凍結組織切片を作製してH-E染色により脛骨近位骨端板の組織学的検討を行った。次に、免疫組織学的手法によりseptoclastの解析を行った。septoclastのマーカーとして抗cathepsin B抗体を用いた免疫組織化学的染色を行い、septoclastの骨端板領域における分布、数や形態を光学顕微鏡、走査型共焦点レーザー顕微鏡による3D画像再構築、透過型電子顕微鏡による観察でKOマウスとWTマウスで比較検討を行った。また、抗cathepsin B抗体と抗脂肪細胞型脂肪酸結合タンパク(A-FABP)抗体との免疫組織化学的二重染色を行い、septoclastにおけるA-FABPの局在を調べた。 その結果、WTマウスとKOマウスの脛骨形態には有意な差が見られなかったが、KOマウスの骨端板骨軟骨境界部で軟骨吸収の異常を示唆する形態が見られた。WTマウスおいてseptoclastの一部がA-FABPを発現した。KOマウスにおいてA-FABP陽性septoclastの細胞数は、WTマウスに比べ有意に増加した。形態的観察から、KOマウスではほとんどのseptoclastの突起が短小化し軟骨吸収能の低下が示唆されたが、A-FABP陽性septoclastは細長い突起が非石灰化軟骨基質に伸展し、活発な軟骨吸収が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では本年度(2019年度)に「実験系1: septoclastにおけるA-FABPの発現と変動」と「実験系2: A-FABP陽性septoclastにおけるPPAR発現の解析」を行い、2020年度に「実験系3: septoclastの脂肪酸取り込みにおけるA-FABPの機能的役割の解析」を行い、2021年度に「実験系4: septoclastにおけるE-FABPとA-FABP発現バランスの解析」を行う予定であった。 しかし、2019年度に終了したのは「実験系1」のみであった。そのため、2020年度に「実験系2」と「実験系3」を終了させ、2021年度には当初の予定通り「実験4」を遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には引き続き「実験系2: A-FABP陽性septoclastにおけるPPAR発現の解析」、「実験系3: septoclastの脂肪酸取り込みにおけるA-FABPの機能的役割の解析」を行う予定である。 具体的には実験系2: A-FABPとperoxisome proliferator-activated receptor (PPAR) gammaを介する長鎖脂肪酸シグナル伝達系が誘導される。A-FABP陽性septoclastにおけるPPAR gammaの発現を解析する。その結果PPAR gammaの発現があれば、PPAR gammaのアゴニスト/アンタゴニストを経口投与し、骨端板軟骨の組織形態観察、septoclastの数計測、A-FABP発現、Ki-67等の細胞分化・増殖マーカー発現の解析を行う。実験系3: 脂肪酸過剰・欠乏マウス: 飽和脂肪酸または、リノール酸、DHAなどの不飽和 脂肪酸の過剰・欠損食を通常栄養の粉末食に含有させ摂食させたメスを交配さ せ、子のオスマウスにも離乳後から同餌を数週間摂食させたマウスを用いる。脛骨器官培養: 胎仔マウスの脛骨を器官培養し、飽和/不飽和脂肪酸を投与する。これらの試料におけるA-FABP陽性septoclastと骨端板の組織形態観察を行い、FABP 発現、PPAR発現、細胞分化・増殖マーカー発現等の解析を行う。
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Causes of Carryover |
研究の進行が遅れたため。本年度(2019年度)実施を予定していた実験のための試薬類(免疫組織化学の抗体類、in situ hybridizationやRT-PCRのプライマーやプローブ、その他の組織化学的試薬)その他の購入費用を来年度に充てる。
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