2021 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学を用いたセロトニン神経系による咀嚼運動の制御メカニズムの解明
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19K18951
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
壇辻 昌典 昭和大学, 歯学部, 助教 (60826634)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | セロトニン神経系 / 咀嚼運動 / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
セロトニン神経系は咀嚼のリズミカルな運動時に活性化し、咀嚼時の筋活動に影響する可能性がある。我々はこれまでに咬筋を支配する咬筋運動ニューロンの樹状突起上にある5-HT2A受容体の活性化がNMDA受容体の機能を亢進させて、グルタミン酸を伝達物質とする興奮性シナプス伝達を増強することを見出し、その細胞内メカニズムを明らかにした。しかし、セロトニン神経系が実際の咀嚼に影響しているのか、しているとすれば、どのように咀嚼パターンを変化させているかは不明である。そこで本研究は、これまでの結果を発展させ、近年開発された光遺伝学を利用して、咀嚼時にセロトニン神経の活動のみを亢進、あるいは抑制することで、セロトニン神経と咀嚼運動の関連性を明らかにすることを目的とする。セロトニン神経特異的に光感受性タンパク質のChR2を発現させた遺伝子改変マウスを用いてセロトニンが咀嚼運動に関与するかを検討した。2019年度にはセロトニン神経細胞が存在する背側縫線核付近に光ファイバーを刺入し、セロトニン神経に光照射を行った。さらに、咀嚼筋に筋電図を装着し、筋活動を同時に記録した。自由行動下で光照射したところ、咬筋活動が増大した。また、24時間の絶食後、餌を与え、咀嚼中に光照射し、咬筋活動を解析したところ咀嚼リズムが速くなり、筋活動の振幅が小さくなることが明らかになった。2020年度には、関与する5-HTレセプターを検討した。5-HT2AR antagonist投与後、咀嚼中に光照射をしても咀嚼パターン変化が見られなかった。2021年度にはセロトニン神経にArchTを発現させたマウスを使用し、咀嚼中にセロトニン神経を抑制させ咀嚼パターンの変化を解析した。現在まで、咀嚼中にセロトニン神経を抑制させても咀嚼運動に顕著な変化は見られなかった。以上から5-HT2Aレセプターの活性が咀嚼パターンを変化させる可能性があるがセロトニン神経の活性は咀嚼運動に必須ではない可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
咀嚼中に背側縫線核の光遺伝学を用いてセロトニン神経系を活性化させると咀嚼のパタ―ンが変化することを明らかにした。現在咀嚼運動の変化に関与するセロトニン神経の投射先について検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
咀嚼運動の変化に関与するセロトニン神経の投射先の候補として線条体や大脳皮質などがあり、それらの部位に光ファイバーを刺入し咀嚼運動の解析を試みる。
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Causes of Carryover |
2021年度には学会の中止やWEBでの開催のため旅費の使用がなく、使用する試薬についても研究室にあるものを使用したため次年度使用額が生じた。2022度は研究成果の発表や試薬の購入に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)