2019 Fiscal Year Research-status Report
The role of the WNT antagonist Sfrp5 on bone formation
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19K18955
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
村上 康平 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (60791837)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨形成 / 骨代謝 / Sfrp5 / Wntシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、脂肪組織と骨の間に関連性が示唆されてきた。しかし、その分子機序には不明な点が多い。Secreted frizzled-related protein 5 (Sfrp5) は脂肪細胞のみが分泌するタンパク質であり、Wnt ligandと結合してWntシグナルのアンタゴニストとして働く。申請者が行った予備的な研究によって、Sfrp5は骨芽細胞の分化を促進し、生体の骨形成を促進することが明らかになった。つまり、脂肪組織が骨量を制御していることが明らかになったのである。一方これは、大きな謎を生む。Wntシグナルは骨量を増加させるシグナルとして知られる。では、なぜWntアンタゴニストであるSfrp5は骨量を増加させるのか。本研究は、Sfrp5の骨への作用の詳細な分子機序を明らかにし、骨粗鬆症治療に応用するための基盤的研究を目的としている。 研究計画に則り、代表者はin vitroで骨芽細胞に組換えSfrp5を添加し、RNAシーケンス解析で網羅的に遺伝子発現を調べた。さらに、パスウェイ解析を行い、Sfrp5によって亢進するシグナル経路Aを同定した。シグナル経路Aで働く転写因子をshRNAおよび阻害薬で抑制すると、Sfrp5の作用が解消されることも確かめた。 次に、古典的Wnt経路の標的遺伝子Axin2-cre/ERT2マウスとレポーターマウス(CAG-tdTomato)、さらにSfrp5欠損マウスと交配させた。このマウスにタモキシフェンを投与すると、Axin2発現細胞はcreリコンビナーゼを発現し、赤色蛍光を呈する。4週齢のこのマウスにタモキシフェンを投与後、大腿骨の凍結切片を作製した。Sfrp5欠損マウスと野生型マウスのAxin2陽性細胞数を比較し、骨組織のWnt経路に対するSfrp5の役割を確認した。 以上、令和元年度に予定していた計画を遂行し、結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験が良好な成績をおさめているため。 ここまでの成果を第37回日本骨代謝学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果より、Sfrp5はシグナル経路Aを活性化して、骨芽細胞の分化を促進することが明らかになった。シグナル経路AはWntシグナルとは全く異なっており、Sfrp5による活性化機序は不明である。 今後は、当初予定していた通りにSfrp5の骨粗鬆症治療薬としての有用性を検討するだけでなく、Sfrp5のシグナル経路Aの活性化機序を探索するために、以下の実験を行う。 実験① Sfrp5過剰発現マウスモデルを作製し、生体におけるSfrp5の骨量増加作用を検討する。 実験② Sfrp5と相互作用する因子を免疫沈降法により検出し、質量分析によって同定する。 これらの実験により、Sfrp5による骨形成促進作用の分子機序を明らかにし、骨粗鬆症に対する新規治療薬としてのSfrp5の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
細胞培養実験が予定よりも順調に進行したため、培養に関わる消耗品(培地や組換え蛋白質など)の使用量が少なくて済んだため。 次年度使用額は、質量分析の解析費用等に充てる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Parathyroid Hormone Shifts Cell Fate of a Leptin Receptor‐Marked Stromal Population from Adipogenic to Osteoblastic Lineage2019
Author(s)
Mengyu Yang, Atsushi Arai, Nobuyuki Udagawa, Lijuan Zhao, Daisuke Nishida, Kohei Murakami, Toru Hiraga, Ryoko Takao‐Kawabata, Koichi Matsuo, Toshihisa Komori, Yasuhiro Kobayashi, Naoyuki Takahashi, Yukihiro Isogai, Toshinori Ishizuya, Akira Yamaguchi, Toshihide Mizoguchi
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Journal Title
Journal of Bone and Mineral Research
Volume: 34
Pages: 1952-1963
DOI
Peer Reviewed
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