2022 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌細胞の代謝活性と環境因子の関連をリアルタイムモニタリング法で探る
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19K18957
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森島 浩允 東北大学, 大学病院, 助教 (30825740)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 癌細胞の代謝 / 嫌気条件 / 環境pH |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちはこれまでに細胞の代謝活性をリアルタイムにモニタリングするシステムを構築し、さらに環境因子の一つであるpHが口腔扁平上皮癌細胞の糖・アミノ酸代謝活性へ及ぼす影響を評価し、一定の成果を得た。 本課題では、これまでに確立した手法を高め、メタボローム的視点も視野に入れながら、他の様々な環境因子や抗癌剤などの薬剤による代謝活性への影響を、単一・複合因子で多角的に比較・検討し、他のがん細胞も含めた検討を行い、口腔がん特有の代謝動態を明らかにすることを目的としていたが、今年度も今まで使用してきた口腔扁平上皮癌細胞株を使用し、細胞周囲の環境を嫌気環境に置いた条件での代謝モニタリングを継続して行っている。具体的には当研究室の嫌気ボックスシステム内での細胞培養・代謝条件下で実験を行っている。 昨年はInternational Symposium for Interface Oral Health Science 2022にて嫌気環境での癌細胞のグルコース代謝について正常細胞と異なる代謝活性が確認されたことを発表したが、本年度は学会および論文発表を行うことはできなかった。今後は癌細胞周囲の栄養環境が細胞の代謝活性に関わっていく可能性も視野に入れながら実験を進めており、嫌気環境条件とpH環境因子が掛け合わせられた場合のがん細胞へ及ぼす影響についての報告を進めていく予定である。また引き続き関連学会にも参加し、癌細胞の代謝研究についての最新の知見の収集を並行して進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
細胞実験は継続して行っているが、現段階では嫌気環境条件でのデータのみであり、pH環境因子を掛け合わせて分析する所まで進捗していないため。さらには代謝産物のメタボローム分析に関して分析装置の不具合から外部委託を検討しているが、選定に時間を要しており進捗に遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-3、HSC-2)を用いて今まで行ってきたpH環境条件と当施設の嫌気ボックス装置を掛け合わせた実験を継続して進めていく。実験で得られた代謝産物についてもその構成を検討するために成分分析を進め、それぞれの条件下での代謝経路の違いや、正常細胞との違いについて検討を行っていく。 実験で得られた成果は随時国内外の学会や論文雑誌等で発表していく予定としている。
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Causes of Carryover |
研究を行う中で追加の細胞株や試薬の購入の必要性がなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度に研究を行う中で、追加の細胞株や試薬の購入の必要性が生じた際に使用予定である。 また、研究のための情報収集のための学会参加や研究成果の発表の際にも論文校正費や登校日として使用する可能性がある。
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