2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌の免疫抑制メカニズムの解析と、ニボルマブ有効症例のスクリーニングへの応用
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19K18959
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Research Institution | Yamanashi Prefectural Hospital Organization |
Principal Investigator |
西井 直人 地方独立行政法人山梨県立病院機構山梨県立中央病院(がんセンター局ゲノム解析センター), ゲノム解析センター, 研究員 (40836285)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 免疫プロファイル / 遺伝子変異プロファイル |
Outline of Annual Research Achievements |
科研費を取得した2019年4月に山梨県立中央病院口腔外科に移動となったため、山梨県立中央病院口腔外科のサンプルを使用して研究を進めるよう計画を変更した。山梨県立中央病院倫理審査委員会で研究計画の承認を得た後、患者から同意を得た。その後、東京医科歯科大学分子免疫学分野にて、ヒトリンパ節を用いて、正の免疫であるCD8T細胞と負の免疫である制御性T細胞、骨髄由来抑制細胞、好中球のサブセットの同定するため、多重免疫染色およびイメージング解析機器Mantraの条件設定を行った。次に、細胞サブセットの同定に加え、メモリーCD8T細胞のマーカーであるCD103、CD8T細胞の細胞障害活性のマーカーとなるGranzymeB、骨髄由来抑制細胞の抑制性機能分子であるArg-1、抗原提示能を評価するHLA-DRといった機能分子を解析するため、抗体を購入し条件設定を行っている。 また、口腔癌の遺伝子変異プロファイルとニボルマブの投与効果についても解析を始めた。口腔癌のFFPE標本から、癌組織をレーザーマイクロダイセクションで切り出し、DNAを抽出した後、全ゲノムシーケンス解析にて遺伝子変異プロファイルを詳細に解析している。ここから、口腔多発癌の遺伝子変異プロファイルの特徴が明らかになったため、論文執筆中である。 さらに、東京医科歯科大学顎口腔外科学分野の症例であるが、腎癌の上顎骨転移という貴重な症例を経験したため、初診時の臨床的特徴や治療成績をまとめ、2019年6月の頭頸部癌学会においてポスター発表を行い、英文誌に論文を投稿中である。この症例はニボルマブを使用していないが、非常に珍しい他臓器からの口腔癌転移についてもPD-1阻害剤が使用可能で有り、新たな治療選択肢となる可能性が高い。これら転移性癌についても免疫プロファイルの解析を行い、PD-1阻害剤の有効性の予測、および検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東京医科歯科大学分子免疫学分野にて、多重免疫染色の条件設定を行っていたが、新型コロナウイルスの影響で未完了となっている。免疫染色だけで無く、次世代シーケンサーを用いた癌の遺伝子変異プロファイルも行っており、口腔多発癌について得られた新規知見について論文執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
県をまたいだ移動制限は解除されたが、今後も移動の自粛が必要となる可能性が高い。そのため、山梨県立中央病院病理診断科にて免疫染色を行うよう計画変更を検討している。昨年購入した抗体を使用し、山梨県立中央病院口腔外科のサンプルを当院で免疫染色し、解析まで行う予定である。その際、多重免疫染色は不可能となるが、細胞数や蛍光強度の定量化のため、画像解析ソフトウェアの購入を検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、東京医科歯科大学での研究が困難となったため。山梨県立中央病院で免疫染色を施行するよう計画を変更する。画像解析ソフトウェアを購入し、定量解析を行う予定である。
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