2022 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の免疫抑制メカニズムの解析と、ニボルマブ有効症例のスクリーニングへの応用
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19K18959
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
西井 直人 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (40836285)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PD-1阻害抗体 / 免疫プロファイル / 遺伝子変異プロファイル / 好中球リンパ球比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、舌癌の活性化および抑制性免疫細胞を包括的に評価した免疫プロファイルを多重免疫染色によって解析し、舌癌の免疫動態および予後を予測するバイオマーカー、さらには免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が有効と考えられるバイオマーカーの抽出を目的とした。最終年度は、以前に詳細に設定した染色条件に基づき多重免疫染色を行い、約60名の免疫プロファイルを解析した。膨大なデータを統計ソフトを用いて解析したところ、舌癌はそもそも腫瘍内にCD45+の免疫細胞の浸潤が乏しい症例が多く見られた。CD8T細胞の浸潤も乏しく、一般的に舌癌ではICIの奏効率が低いと言われることと一致していた。予後との関連を解析したところ、腫瘍関連マクロファージが予後予測因子となることが判明した。この内容は、論文投稿中である。 また、申請者が以前勤務していた病院における、ICIの治療効果と免疫プロファイルの解析結果をまとめた。こちらは新型コロナウイルスの影響で本学との共同研究が行えず、病院内で実施可能な単染色による免疫染色ではあったが、奏効した2例のうち、1例はPD-1陽性細胞およびCD8T細胞の浸潤が豊富で有り、ICI奏効という結果と矛盾しなかったが、もう1例は全くCD8T細胞の浸潤を認めない症例であった。そこで他のバイオマーカーとして現在検討されている、遺伝子変異プロファイルおよび末梢血の好中球リンパ球比率について解析した。すると、好中球リンパ球比率が治療効果と相関することが明らかとなった。単一のバイオマーカーだけで無く、複合的なバイオマーカーの解析が有効であることが示唆された。この結果を論文として報告した。 また、前癌病変についても、T細胞を中心とした免疫動態解析を施行した。前癌病変の癌化に伴う免疫プロファイルの変化や、ICIの有効性などは報告が無く、今後の重要な検討課題になると考えられた。
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[Journal Article] Observation of dynamic changes in neutrophil-to-lymphocyte ratio is useful for evaluating treatment response to nivolumab in PD-L1-negative advanced oral cancer2022
Author(s)
Naoto Nishii, Yosuke Hirotsu, Yukinobu Takahashi, Yuki Takagawa, Kenji Amemiya, Toshio Oyama, Hitoshi Mochizuki, Emi Furusawa-Nishii, Hiroyuki Harada, Masao Omata
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Journal Title
Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
Volume: 34
Pages: 833-841
Peer Reviewed / Open Access
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