2019 Fiscal Year Research-status Report
5FU口内炎を増悪する細菌または予防する細菌の同定とそれぞれの機序の解明
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19K18960
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
元尾 伊織 富山大学, 附属病院, 助教 (70839076)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔内細菌叢 / 5-FU口内炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フッ化ピリミジン系薬剤による口内炎を発症した患者の口腔内細菌叢に着目し、口内炎の重症群と軽症群においてフッ化ピリミジン系薬剤投与前の口腔内細菌叢を比較することで、口内炎を増悪または予防する細菌を同定することを目的としました。2019年度の研究実施計画では、①フッ化ピリミジン系薬剤を新規に開始される消化器癌患者に対して、本研究の主旨を説明し、書面で同意が得られた症例から、治療前の唾液を40例採取し、②保存した唾液を理化学研究所横浜事業所マイクロバイオーム研究チームに送付し、重症群と軽症群で16SrRNA解析のデータを比較し、重症群または軽症群に多く存在する細菌を同定することを予定していました。そのため、2020年3月31日時点までにフッ化ピリミジン系薬剤を新規で開始する消化器癌患者から化学療法開始前の唾液を35例採取しました。しかし、近年の口腔ケアの進歩により、口内炎発症群5例、口内炎非発症群27例、症状観察中3例であり、口内炎の発症数が少ない結果でした。そのため、当初は口内炎重症群と軽症群の口腔内細菌叢を比較する予定でしたが、本研究では口内炎発症群と口内炎非発症群の口腔内細菌叢を比較することで、口内炎を発症または予防する細菌を同定することを目的としました。残り5例を採取した上で、唾液の口腔内細菌叢を解析する予定としており、2020年3月31日時点では解析は未施行の状態です。採取した35例の背景は男性25例、女性10例、年齢中央値69歳(53-85歳)、癌腫は大腸癌13例、胃癌11例、食道癌10例、膵癌1例、フッ化ピリミジン系薬剤の剤型は5-FUの静脈注射25例、5-FUの内服10例でした。口内炎発症5例の癌腫は大腸癌3例、胃癌1例、食道癌1例であり、大腸癌に多く認めました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度はフッ化ピリミジン系薬剤を新規で開始する担癌患者から化学療法開始前の唾液を40例採取する予定でしたが、2020年3月31日時点で35例であり、サンプル採取がやや遅れている。理由としては、新規に薬剤を開始する患者数は概ね予想通りでありましたが、サンプル採取のタイミングが合わない症例、同意が得られない症例、放射線治療を併用する症例(放射線治療併用では放射線による口内炎リスク高く、除外基準に含めていました)が予想よりも多かったことが考えられました。
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Strategy for Future Research Activity |
今後数カ月以内に目標の40例に到達することが予想されますので、その時点で口内炎発症群と口内炎非発症群で口腔内細菌叢を比較し、口内炎を発症させる菌群、口内炎を予防する菌群を同定します。菌群を同定できた場合には、その菌群を含む唾液から目的となる菌群を対象に単離培養を行います。単離培養に成功すれば、その菌株を用いて、in vitro、in vivoの実験を予定します。
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Causes of Carryover |
2019年度で本来唾液サンプル40例採取し、唾液中の口腔内細菌叢を解析する予定でありましたが、2020年3月31日の時点でサンプル35例のため、口腔内細菌叢の解析が未施行であります。1サンプルあたり、約30000円の解析費用がかかるため、その分において次年度使用額が生じました。サンプル40例となりましたら、予定通り口腔内細菌叢の解析を行う計画としています。
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