2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K18964
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
竹縄 隆徳 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30711270)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 転移 / 悪性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
TPM1ならびにHSP90B1の口腔癌における発現と、口腔癌の発生や癌化の予知、局所再発、頸部リンパ節転移や遠隔転移、抗癌剤耐性や放射線耐性との関連性を検討してきた。 根治的な腫瘍切除術が施行された111例の生検・手術材料を対象として、TPM1の発現を、免疫組織染色法を用いて検索した結果、検体の多くで、腫瘍細胞の細胞膜と細胞質にTPM1の発現を認め、発現はfocalパターンであったが、症例によってTPM1の発現には差が認められた。TPM1の低発現は口腔扁平上皮癌の浸潤・転移能獲得において重要な役割を演じるとともに、有用な予後因子となり得る可能性が示唆された。 TPM1の確認可能な12種のバリアントに共通して抑制可能なデザインを行ったsiRNAを用いて、口腔扁平上皮癌細胞のTPM1発現を抑制すると、TPM1の発現は正常角化細胞株で高く、口腔扁平上皮癌細胞株で低かった。また口腔扁平上皮癌細胞株の中で、TPM1の発現が高いHSC4とTPM1の発現が低いHSC2において、TPM1 siRNAを用いてTPM1発現を抑制した。その結果、HSC4とHSC2の増殖能は促進し、それらの遊走能も増強し、さらに両者の細胞移動能も亢進した。以上の結果から、TPM1の低発現は口腔扁平上皮癌の浸潤・転移能獲得において重要な役割を演じるとともに、有用な予後因子となり得る可能性が示唆された。 TPM1について本研究で得られた知見を論文として発表した。 また口腔癌におけるHSP90B1発現の臨床的意義について、同様に生検・手術材料を対象として、HSP90B1の発現を、免疫組織染色法を用いて検索したところ、腫瘍細胞におけるHSP90B1の発現と臨床病理学的特徴の関係については何ら有意差を確認できなかった。このため口腔癌におけるHSP90B1発現の臨床的意義は乏しいと考えられた。
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