2019 Fiscal Year Research-status Report
機械感受性イオンチャネルPiezo1による口腔癌進展制御機構の解明
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19K18966
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長谷川 佳那 九州大学, 歯学研究院, 助教 (30793989)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 機械感受性イオンチャネル / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔癌の治療法は切除療法が主体であるが、解剖学的構造、機能および審美性の面からも患者への負担が大きい。そのため低侵襲でかつ副作用の少ない治療法の確立が期待される。本研究では、細胞外環境の機械刺激や間質の硬さに応答し、器官形成や細胞移動への関与が報告されている機械感受性イオンチャネルであるPiezo1に注目した。近年、癌微小環境の物理的な変化により癌形成および進展が亢進されることが注目されている。しかし、癌における詳細な分子機構は、Piezo1の関与を含め不明である。そこで本研究では、癌間質の硬さの変化を感知したPiezo1が活性化した結果、癌の進展に関与するかを明らかにすることを目的とし、口腔扁平上皮癌の新たな制御機構の解明と、新規の口腔癌治療法の開発を目指している。 令和1年度は、in vitroにて、Piezo1を介した間質硬さへの応答による口腔癌進展の機序を検討した。まず、口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞株において、基質硬さの変化が及ぼす影響を検討した。異なる硬さの基質上でOSCC細胞株を培養し、日数変化を解析した。その結果、基質硬さの変化がOSCC細胞株の細胞増殖を変動させた。次に、基質硬さによるPiezo1への影響を解析した。加えて、Piezo1 siRNAおよびアゴニストを用い、ウェスタンブロッティング法にてシグナル経路検索を行った。さらに、OSCCの病理標本を用い、Piezo1の発現を免疫組織化学染色にて検討した。その結果、腫瘍部におけるPiezo1の強発現を認めた。今後は、ヌードマウスを用いてPiezo1による口腔癌進展への影響をin vivoにて解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画は概ね予定通りに遂行できた。Piezo1の浸潤・遊走への影響は検討できていないが、siRNAによるPiezo1の発現抑制をmRNA、タンパクおよび細胞内イオンの流入により確認していること、また浸潤・遊走能への影響を検討するプロトコールは既に確立していることから、大幅な計画の遅れはない。
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Strategy for Future Research Activity |
shRNAを用いた恒常的にPiezo1の発現を抑制したOSCC細胞株をヌードマウスに移植したゼノグラフトモデルを用いてvivoにおける口腔癌進展への影響を、組織標本による組織学的変化を含めて評価する。
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Causes of Carryover |
in vivo実験に用いるヌードマウスや、試薬の購入を予定している。 加えて、研究成果発表のための学会参加や論文発表に必要な経費に充てる予定である。
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