2019 Fiscal Year Research-status Report
診断情報最大化を指向したヒト唾液エクソソームの密度と形態によるサブタイプ分け
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19K18969
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
山本 恵史 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (10822538)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 唾液 / エクソソーム / プロテオミクス / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では全唾液からexosomeを密度勾配遠心にて精製し、アップワードとダウンワードの両方、96時間という長時間の遠心での精製を実施することで、全唾液exosomeの密度を決定することに成功した。ウェスタンブロット(CD63、CD81、CD9、TSG101、HSP70、Amylase)や銀染色を用いて、遠心時間96時間によって、従来の17時間の精製方法と比較して、より厳密に平衡に達することがわかった。さらに興味深いことに、唾液exosomeの密度は採取する検体によって微妙に異なることがわかった。またマススペクトロメトリーによるタンパク質の網羅的解析も行い、これらのタンパク質と先述の密度を組み合わせたサブグループ分けをおこった。すると、全唾液には大きく分けて3種類のサブグループが存在することが初めてわかった。またそれらのバイオジェネシスを推測できるタンパク質の特徴を見つけることができた。グループの1つは、古典的なexosomeの生成のマーカーであるCD63などのテトラスパニンタンパクを含むグループであり、もう1つのグループは細胞骨格のダイナミクスを制御するタンパク質を含むグループであることがわかった。これら解析結果は、グループによって構成タンパク質や密度が異なることから、今後、exosomeを一粒子単位で解析するにあたって重要なデータとなると考える。 さらには今後の計画にあるように、唾液exosomeの形態解析を行なうのに必要なTEM資料作成の技術を習得し、プレ試験として観察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載したとおり順調に進展していると考える。具体的には、唾液exosomeの精製方法と密度決定ならびに唾液exosomeに含まれるタンパク質解析とそれらを合わせたサブタイプ分け(グループ分け)まで進んでいる。ここから形態解析に実験を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は唾液exosomeの形態解析を行なっていく。解析方法は主に透過型電子顕微鏡を使用する。これによって唾液exosomeの大きさや発現するタンパク質を免疫染色することで唾液exosomeとそのサブクラスの存在を明らかにしていく。 また現在使用している全唾液は様々な口腔液が混ざりあったものであり、その中には耳下腺唾液も含まれている。最終的には全身の疾患を診断可能な生化学的特徴などを唾液exosomeから発見することを目的としている中で、耳下腺唾液は全身の血液から由来していることから、耳下腺唾液由来のexosomeの解析は、それを実現するための重要なステップであると考える。よって今後、全唾液の解析と同時に耳下腺唾液由来のexosomeの解析を行いそれらを比較すること、でさらに詳細なサブクラス分け、また診断に利用可能なタンパク質などを探索してく、
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Causes of Carryover |
本年度の参加した学会の開催地が勤務地である東京都内であったため、旅費としての支出を行うことがなかったことが原因である。次年度使用額については、次年度の学会参加における旅費などに補填するほか、免疫染色に用いる交代などの物品費として使用する計画である。
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