2020 Fiscal Year Research-status Report
診断情報最大化を指向したヒト唾液エクソソームの密度と形態によるサブタイプ分け
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19K18969
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
山本 恵史 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (10822538)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | exosome / 唾液 / 超音波 / 前処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では昨年度より行なっておいた全唾液からexosomeを密度勾配遠心にて精製する方法のうち、唾液の前処理としての超音波処理のexosomeへの影響について検討した。以前から、超音波処理はexosomeを破壊するという報告があり、今後等研究を進めていく上で必ず指摘される点であるため、本年度その影響を調べた。遠心条件としては差別遠心を採用し、唾液の採取後に超音波処理を行ったものと、行っていないものの二種類のexosomeサンプルを準備した。具体的な条件は、唾液採取後に超音波処理のありなしを行い、ついで2600g、10,000g、160,000gの遠心を順に行った。結果として、前処理を行ったものと行っていないものでは、exosomeサンプルの粘度が全く異なり、超音波処理をしていないものは、ピペッティングが困難なほどにゼリー化してしまうことがわかった。また、ウェスタンブロットやNTA解析によりそれらのシグナル、粒子数は超音波処理を行ったものとそうでないもので比較しても変わらないことがわかった。また前処理を行ったものと行っていないものをそれぞれパパニコロー染色し観察すると、、前処理をおこなっていないものにはムチンのような物質が多く認められ、またTEM(ネガティブ染色)でも観察したところ、前処理をおこなっていないものはそもそも一粒子を観察するのは困難であり、粒子以外の存在のものがバックに多量に観察された。これらのことから、唾液に含まれるexosomeを精製するにあたっては、前処理として超音波処理が必要であり、それによってexosomeが破壊されるような影響はないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は世界的なコロナウイルスの影響で実験が大きく停滞した。予定したよりも計画は遅れていると考える。現在のところ例年と同水準とまではいかないが、実験環境は元に戻っておいるため、本年度に予定していた唾液exosomeの形態解析を来年度行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は昨年度に掲げていた、唾液exosomeの形態解析を行なっていく。 解析方法は透過型電子顕微鏡で、唾液exosomeの大きさや発現するタンパク質を免疫染 色することで唾液exosomeとそのサブクラスの存在を明らかにしていく。 特にポジティブ染色による免疫染色は、いまだexosomeに関わるほとんどの研究者が行っていないため、積極的に行っていきたい。 また同時に耳下腺からの唾液唾液exosome精製をおこない、大きさや発現するタンパク質を免疫染色し、全唾液由来のものと比較検討していきたい。特にAQP5は耳下腺由来のexosomeに特徴的に発現していると考えられ、それに着目することによって、口腔乾燥症や耳下腺の疾患のバイオマーカーになりうると考えられるため、それらのサブクラスを明らかにし、解析を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、本年度の世界的なコロナウイルス の影響で、研究の実施が大きく停滞したことによる。本年度は学会などの中止や、海外からの物品輸入の一時停止または長期遅延が発生した。本研究計画では、抗体を用いた免疫染色が含まれているが、抗体は使用期限が厳密に定められているため、本年度に本研究費で購入したが、本年度で使用できず、来年度使用期限が切れて使用できないなどといった状況を避けるために、本研究費の使用を制限したことが理由である。来年度は本年度に予定していた免疫染色を行っていくための抗体の購入を計画している。
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