2019 Fiscal Year Research-status Report
RNAシーケンスを用いた外分泌破綻を免れる仕組みの解明
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19K18974
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
大野 雄太 朝日大学, 歯学部, 助教 (30796644)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 外分泌 / NODマウス / RNA-seq / シェーグレン症候群 / 涙腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
シェーグレン症候群 (Sjogren's syndrome, 以下SS) は外分泌腺における慢性的な炎症から、ドライアイやドライマウスなどの乾燥症状を呈する疾患である。これまで炎症の観点からの研究が多くあるが、治療は対症療法にとどまり、抜本的な病態へのアプローチ法の開発が急がれる。 2019年度はSSの涙腺炎モデルマウスである雄性non-obese diabetic (NOD) マウスの涙腺を用いて、主に網羅的遺伝子発現解析による外分泌関連候補因子の選出を行った。具体的には、まずNODマウスの涙液分泌が低下する週齢を検討し、涙腺炎の発症とほぼ同週齢であることが判明した。次に、涙液分泌低下および涙腺炎の発症前・発症早期・発症後期において網羅的遺伝子発現解析であるRNAシーケンスを行ったところ、発症後のNODマウスの涙腺では、発症前や同週齢の対照マウス (BALB/cマウス) の涙腺と比して、炎症に関与する遺伝子の発現が多く増加していたのに対し、発現低下したのは数種類の遺伝子のみであった。発現低下していた遺伝子のうちの1つに着目し (以下、因子X)、BALB/cマウスとNODマウスの涙腺でRT-qPCRとウエスタンブロットにより因子Xの発現量を検証したところ、RNAレベル・タンパクレベル共にNODマウスの涙腺において涙液分泌低下発症早期から因子Xの発現低下を認めた。 以上より、雄性NODマウス涙腺において、涙液分泌低下発症に因子Xの発現低下が関与する可能性が示唆された。 なお、候補遺伝子が多く予想された涙腺の解析を優先し、唾液腺の解析は現在推進中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、RNAシーケンスにより、涙液分泌低下に関与する可能性のある候補遺伝子 (因子X) を選定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は候補遺伝子である因子Xについて、阻害剤を用いたさらなる検証により涙液分泌への関与を検討する。さらに、因子Xの涙液分泌メカニズムについての検討を行う。
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