2019 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌由来Fusobacterium nucleatumの病原性に関する研究
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19K18981
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Research Institution | Kyodo Milk Industry Co., Ltd. |
Principal Investigator |
杉 由高 協同乳業株式会社研究所, 研究所, 研究員 (30646013)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大腸癌 / Fusobacterium nucleatum |
Outline of Annual Research Achievements |
Fusobacterium nucleatum(F. nucleatum)は口腔常在菌の一種として知られているグラム陰性細菌であるが、近年大腸癌の増悪化に関わることが相次いで報告されたことで大きな注目を集めている。我々はこれまでに、同じ患者の唾液と大腸癌から同一菌株のF. nucleatumが分離されること、すなわち大腸癌で検出されるF. nucleatumが口腔に由来することを報告した。また、同研究によって口腔内のF. nucleatumの中でも特定の菌株のみが大腸癌にまで移行している可能性を示すデータが得られている。 本申請課題は口腔由来のF. nucleatum分離株と大腸癌由来のF. nucleatum分離株のゲノム配列を比較して、大腸癌から分離されたF. nucleatumの特徴を明らかにすることを目的とする。 初年度は、先行研究で得られた分離株のゲノムシークエンスをPacbio社Sequel IIを用いて行った。シークエンスにかけたすべての菌株で予想されるゲノムサイズの150×以上をカバーする十分な量のリード数が得られ、現在得られた配列データを用いてゲノムアセンブルを行っている。また、大腸癌由来のF. nucleatum分離菌株数を増やすことを目的に、新規に臨床検体から同菌の分離培養を行った。7名分の検体から大腸癌由来分離株として5株および唾液由来として14株のF. nucleatum分離株を新規に得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロングリードシークエンシングを行うための分解が少ない高品質な長鎖ゲノムDNA抽出に予想外に手間取ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの菌株のゲノムシークエンスを行うとともに、比較ゲノム解析を行い大腸癌から分離されたF. nucleatumに特徴的な遺伝子をリスト化する。また、解析に使用したシークエンサーからはDNAのメチル化修飾に関する情報も得られるため、DNAの配列情報だけでなく大腸癌由来のF. nucleatumに特徴的なDNA修飾のパターンについても着目した解析を行う。
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Causes of Carryover |
一菌株あたりのシークエンス費用としては足りないため繰り越すこととした。次年度の予算と合わせて残りの菌株のシークエンス費用とする。
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