2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔内で長期間の薬剤徐放を実現する新規な薬剤キャリアガラスフィラーの開発
Project/Area Number |
19K18982
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
成徳 英理 北海道大学, 大学病院, 医員 (00829393)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬剤徐放 / 歯科修復材料 / ナノ多孔質 |
Outline of Annual Research Achievements |
う蝕は感染症であり、ミュータンスレンサ球菌(Streptococcus mutans)は、う蝕の発生に重要な役割を果たす。S. mutans は母子伝播することが多く、感染を防ぐことは難しい。これらう蝕原生菌は飲食物に含まれるスクロースなどの糖類を原料として乳酸を産生して歯質を脱灰する。酸産生能は細菌の数に比例する。つまり口腔内のS. mutans などのう蝕原生菌を減らすことはう蝕の発生を減らすことに繋がる。う蝕の予防を目指した歯科材料として、これまで、フッ素徐放性のセメントの間発が行われてきた。フッ素には、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトの水酸基と置換されることにより脱灰に抵抗性のあるフルオロアパタイトを形成する効果や、歯面の再石灰化を促進する効果がある。しかし、最も病原性の高いう蝕原因菌であるS. Mutans に対して、その代謝を抑制する効果はあるが、殺菌効果は持たない。持続的にS. Mutans を殺菌する機能を付与した歯科材料として、これまで銀ゼオライトなどが研究されれてきたが、銀による黒変(審美性の低下)や、唾液などに存在するイオンと結びつき銀イオンが失活する、などの問題があり、実用化に至らなかった。う蝕予防として日頃の歯磨きが重要であるが、歯磨きで菌の数を減らしても、しばらくすると元通りに戻る。マウスウォッシュなどの抗菌作用も効果は一時的である。市販のうがい薬に含まれる殺菌剤(塩化セチルピリジニウム:CPC)は、S. Mutans など口腔内細菌の殺菌には有効であるが、この薬剤を従来の歯科材料へと含有・塗布しても、口腔内環境へと容易に遊離・拡散してしまい、持続的な効果は得られない。そこで本研究では、ナノサイズの細孔を持つ多孔質シリカ粒子(NPS)に着目して、長期徐放・大容量充填可能な薬剤徐放のキャリアとしての適性の検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ細孔を持つ多孔質シリカ(NPS)を市販の歯科修復材料と混和した複合試料を作成し、口腔内細菌の殺菌剤として知られる塩化セチルピリジニウム(CPC)と同じく正に帯電したモデル薬剤化合物を数週間に渡り、上澄液へと徐放する様子が確認された。NPSを含有しない試料の場合には、モデル薬剤の徐放が短期間のうちに見られなくなることからも、NPSによりモデル薬剤が複合試料に吸着され、その後徐放されていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画3年目には、殺菌剤CPCを用いた徐放挙動の詳細な検討を行うとともに、アパタイト片や動物の歯牙を用い、疑似齲蝕を作成し、そこへと充填した材料からの徐放挙動の観測を行い、新規材料の実証性についての基礎的な検討を行う。
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Causes of Carryover |
出張規制のため、予定していた国際学会等への参加による旅費の執行が進まなかった。これに伴い、情報収集活動も思うよ宇尾に行かなかったために、次年度使用額が生じた。 計画3年目には、性質の異なる他種の化合物との比較検討を行い、徐放機構の解明を試みる。また、実際に殺菌剤CPCを用いた徐放挙動の検討を行う。更に、アパタイト片や動物の歯牙を用い、疑似齲蝕を作成し、そこへと充填した材料からの徐放挙動の観測を行い、新規材料の実証性についての基礎的な検討を行う。
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