2019 Fiscal Year Research-status Report
白金ナノコロイドを応用した1ステップアドヒーシブの脱灰象牙質接着性の向上
Project/Area Number |
19K19003
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
勝俣 愛一郎 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (60779891)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 白金ナノコロイド / 1ステップアドヒーシブ / 脱灰象牙質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、歯質接着分野へのナノテクノロジーの応用として、白金ナノコロイドを臨床使用頻度の高い1ステップアドヒーシブと共に表面処理剤として使用し健全・脱灰象牙質の歯質接着性の向上を目的としている。その中で今年度は象牙質至適処理方法の検討として、まず健全象牙質と脱灰象牙質に対し、濃度を細分化した白金ナノコロイドとリン酸との混和液(すべてリン酸濃度35%)を1ステップアドヒーシブの前処理剤として用い、剪断接着強さの測定を行った。その結果、剪断接着強さは健全歯質においてリン酸のみ、白金ナノコロイド100%、10%、1%の順に15.02±1.67MPa、15.67±1.96MPa、13.05±1.74MPa、17.59±2.98MPaであり、白金ナノコロイド1%とリン酸の混和条件が最も高い剪断接着強さを示した。次に、脱灰象牙質においても同様の条件で剪断接着強さの測定を行ったところ剪断接着強さはリン酸のみ、白金ナノコロイド100%、10%、1%の順に8.76±1.80MPa、8.48±3.41MPa、8.20±1.20MPa、8.84±3.12MPaであり、明らかな違いは認められなかった。次に、健全歯質で高い剪断接着強さを示した1%白金ナノコロイドとリン酸の混和液の処理時間を1秒、5秒、10秒で比較したところ脱灰象牙質においては明らかな違いは認められなかったが、健全象牙質においては処理時間が短い方が剪断接着強さが高くなる傾向を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、今年度中に健全・脱灰象牙質に対して白金ナノコロイドを1ステップアドヒーシブと共に表面処理剤として使用する際の至適条件を接着試験や形態観察から明らかにし、その結果を得たうえで次年度に長期耐久性の検討を行う予定であった。 しかし、現在のところ特に脱灰象牙質において至適条件が確定しておらず、長期耐久性の検討に入る前に、健全象牙質と合わせて引き続き検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
特に脱灰象牙質において短期接着データで各条件の差が認められなかったことより、脱灰条件の見直しを含めて、引き続き白金ナノコロイドの健全・脱灰象牙質への表面処理における至適条件の検討を行う。次に長期接着耐久性の評価へと移行する。研究の進行状況によっては研究期間の延長も考慮する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究実施計画よりも現段階で予想以上に進行が遅れてしまい、次段階の研究で使用する予定の費用が残存した状況である。引き続き研究を進め、次段階の研究のための試薬・歯科用材料等の購入に用いる。
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