2019 Fiscal Year Research-status Report
インプラント周囲炎に罹患したチタン表面の除染法とFGF-2による骨再生の検討
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19K19004
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
門 貴司 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (20632540)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / 除染法 / アルカリ電解次亜水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、汚染されたチタン表面に対してエアーアブレーシブにアルカリ電解次亜水処理を加えることで、過酸化水素処理に比較して、ヒト骨髄間葉系幹細胞に対する細胞親和性が新鮮なチタン表面と同等になることが分かった。 その原理としては、2つ明らかとなった。 1つ目は、チタン表面の汚染物質である有機物が減少したことである。これは、チタン表面の窒素原子が過酸化水素処理をしたチタン表面およびネガティブコントロールである生理食塩水で処理したチタン表面より減少していることから、明らかとなった。チタン表面の汚染は、チタン表面のOH基と強い相互作用がある極性基を持つアミンやアルデヒドのような有機物と、チタン表面のOH基と弱い相互作用を持つ疎水性の脂肪族飽和炭化水素のような有機物がある。チタン表面のOH基に対して弱い相互作用を持つような有機物であれば、単純に水で洗浄するだけでも表面から除去できるが、チタン表面のOH基に対して強い相互作用を持っている有機物であれば、単なる洗浄では表面から除去することができない。本研究で用いているアルカリ電解水に含まれるOCl-は、そのような強い相互作用を持っている有機物であっても強力な酸化作用によって除去できる可能性が考えられた。 2つ目は、チタン表面のOH基の増加である。アルカリ電解次亜水のモデルとしてNaOClを用いて、チタン表面を処理したところ、表面のOH基が増加することが明らかとなった。それに伴い、コラーゲンの吸着が増加することも明らかとなった。アルカリ電解次亜水処理をすることによって、チタン表面に細胞接着性タンパク質などが吸着しやすくなり、細胞の親和性が増加していたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
汚染されたチタン表面に対するアルカリ電解次亜水処理がなぜ、細胞親和性を向上させるかというメカニズムの所に時間を割いてしまったため、やや研究が遅れ気味となってしまった。ただ、今後の研究を進めるうえで、メカニズムを知って進めていくことは重要であり、次年度に生かしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はExVivoの実験を予定通り行っていきたいが、現在コロナ対策により研究が止まってしまっている。今後の大学の状況を鑑みて、一時中断とするのかも含めて検討していきたい。
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Causes of Carryover |
計画を進めるうえで、Vitroの部分で明らかにしなければならない部分が出てきてしまい、そこに時間がかかってしまったため、研究がやや遅れてしまった。そのため、予算よりも少ない使用額となっている。次年度は、計画通りの内容に進めるよう準備をしている。
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