2021 Fiscal Year Research-status Report
インプラント周囲炎に罹患したチタン表面の除染法とFGF-2による骨再生の検討
Project/Area Number |
19K19004
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
門 貴司 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (20632540)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / 除染法 / アルカリ電解次亜水 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで本研究では、人工プラークによって汚染された、機械研磨面のチタン表面に対する除染を行ってきた。除染の手法として、一般的に行われているエアーアブレーシブに過酸化水素処理を加えることに比較して、エアーアブレーシブにアルカリ電解次亜水処理を加えることで、ヒト骨髄間葉系幹細胞に対する細胞親和性が新鮮なチタン表面と同等になることを明らかにした。 現在多くのインプラント体の表面は粗造化されたチタン表面となっている。機械研磨された表面に比較して、粗造化されたチタン表面では、除染効果が低くなる可能性がある。まずは、市販品と同程度の粗造面を安定に作成する手法を開発し、その表面に対して、機械研磨面に行った除染法と同様の処理を行った。結果は、機械研磨面と同様に、エアーアブレーシブにアルカリ電解次亜水処理を加えることで、有機物付着の指標である窒素原子の検出が新鮮なチタン表面と同等となり、それに伴い細胞親和性も新鮮なチタンと同等であることが示唆された。現在追加実験を行っている。 さらに、インプラント周囲炎によって抜去することになったインプラント、ポケット浸出液及び周囲肉芽組織を採取し、実際のインプラント周囲炎における「汚染」とはなにかを検討した。インプラント周囲からは、歯周炎と同様に、P.g、T.d、T.f、F.n、およびP.iなどが検出された一方、周囲炎に罹患したインプラント表面から天然歯表面には見られない亜鉛が検出された。亜鉛が検出されたインプラントの機能期間が優位に低いことも分かった。追加のIn vitroの実験から、インプラント周囲炎においては、歯周病原細菌による炎症と、インプラント表面付着物に含有した亜鉛がマクロファージに作用し、MMP-9とTIMP-1のバランスが崩壊、TIMP-1が過剰産生され、破骨細胞が形成されることによって、インプラントの機能期間が短くなる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ対応の学部マネージメント業務および遠隔講義システムの構築・管理・維持業務の責任者となってしまったため、そちらに対するエフォートが大きなってしまい、全体的な研究の進行状況が遅れてしまっている。それに伴って本年度、延長を申請したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ対応で思った通り研究を進めることができていない。1年延長したものの、すべての計画を1年で実施することは難しくなってきている。動物実験の実施を検討していたが、実施が難しくなってきているので、1年で動物実験に入ることができる目途がつけられるデータを出せるように検討している。この部分でも、インプラント周囲炎に罹患したチタン表面での骨再生のために重要なデータは得られると考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ対応の学部マネージメント業務および遠隔講義システムの構築・管理・維持業務の責任者となってしまったため、そちらに対するエフォートが大きなってしまい、全体的な研究の進行状況が遅れてしまっている。それに伴って次年度使用額が生じている。本年度、延長を申請したところである。延長した期間で次年度使用額を使用していく予定である。
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