2019 Fiscal Year Research-status Report
歯周炎関連全身疾患としての2型糖尿病とその病態形成メカニズムの解析
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19K19005
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
中里 茉那美 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (10823841)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | P. gingivalis / 糖尿病 / DPP4 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周炎は2型糖尿病のリスクファクターとなることが示唆されているものの,その分子機構についてはいまだ明らかにはされていない.2型糖尿病の病態形成機序の1つとして,ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)によるインクレチン [GLP-1(glucagon-like peptide-1)および GIP(gastric inhibitorypolypeptide/glucose dependent insulinotropic polypeptide)]の不活性化が挙げられている.申請者らはこれまでにPorphyromonas gingivalis をはじめとする複数のヒト慢性歯周炎の主要原因細菌種がDPP4 を保有し,ヒトDPP4同様にインクレチンを切断することを明らかにした.しかしながら,歯周組織局所の病態が2型糖尿病の病態形成/進行に関わるかは明確ではない.本研究では歯周病原細菌の感染による歯周炎モデルマウスを作製し,局所の歯周病原細菌感染がインクレチン切断に演じる役割について検討し,2型糖尿病の病態形成/進行につながる可能性を検討した. 初年度において,歯周炎モデルマウスを作製するために,各種類の結紮線に対するP. gingivalis の付着について検討した.その結果,モノフィラメント構造のナイロン糸およびメタルワイヤー結紮線のいずれもP. gingivalis は付着することが認められた.また,ナイロン糸の方がより付着しやすいことから,歯周炎モデルマウス作製時にナイロン糸を用いることで操作性が簡易になる可能性があると明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯周炎モデルマウスの作製に不可欠な予備実験として,モノフィラメント構造のナイロン糸およびメタルワイヤー結紮線に対するP. gingivalis の付着能を検討した.その結果,ナイロン糸はメタルワイヤー結紮線と比較して10 倍のP. gingivalis が付着することが明らかとなった.ナイロン糸を用いて歯周炎モデルマウスの作製を目指す計画ではあったが,令和元年度は岩手医科大学の総合移転計画があり,動物舎を十分に使用できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度で検討された歯周炎モデルマウスの作製し,血液採取を行う.得られたサンプルから血糖値,インスリン濃度,活性型GLP-1濃度,DPP4活性を測定する.さらに,血清を分画し,インスリンおよび活性型GLP-1の濃度はELISA 法,DPP4活性については蛍光ペプチド基質Gly-Pro-4-methylcoumaryl-7-amide(Gly-Pro-MCA)を使用した蛍光測定から検討する.
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Research Products
(2 results)