2021 Fiscal Year Annual Research Report
歯周炎関連全身疾患としての2型糖尿病とその病態形成メカニズムの解析
Project/Area Number |
19K19005
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
中里 茉那美 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (10823841)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | P.gingivalis / 糖尿病 / DPP4 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は2型糖尿病のリスクファクターであるが,その分子メカニズムは未だ完全には明らかにされていない.2型糖尿病の病態形成の機序にジペプチジルペプチダーゼ(DPP)4 によるインクレチン[GLP-1(glucagon-like peptide-1)]およびGIP(gastric inhibitor polypeptide/glucose dependent insulinotropic polypeptide)]の不活性化が挙げられている.申請者らはこれまでにPorphyromonas gingivalisをはじめとする複数のヒト慢性歯周炎の主要原因細菌種がDPP4 を保有し,ヒトDPP4 同様にインクレチンを切断することを明らかにした.昨年度はP. gingivalis 菌体をマウスに投与した結果,血清中の活性型GLP-1 濃度が有意に減少したが,インスリン濃度は上昇を認めた.P.gingivalis DPP4 組換え体では活性型GLP-1 とインスリン濃度がいずれも有意に減少を認めた.本年度はP.gingivalis DPP4 およびDPP7組換え体を用いて,インクレチンならびにインスリン切断に演じる役割について検討し,歯周病が2型糖尿病の病態形成/進行につながる可能性を検討した. その結果P.gingivalis DPP7 はP.gingivalis DPP4 同様にインクレチンを切断すること,またDPP7はDPP4と比較してインクレチンを強力に切断することを明らかにした.さらに血中投与により,血糖値が有意に上昇し血中GLP-1 濃度とインスリン濃度が有意に減少したのを認めた. 本研究成果により,P.gingivalis DPP4 とDPP7 は2型糖尿病の病態形成の一要因となることが強く示唆された.
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