2021 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病状態における足場材料・成長因子を用いた安全で効率的な骨再生の確立
Project/Area Number |
19K19007
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
備前島 崇浩 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40755021)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 糖尿病 / FGF-2 / DBBM |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病は,感染防御機構の低下や創傷治癒不全によって,歯周組織の治癒に問題があることが指摘されている。現在までに様々な歯周組織再生療法が開発,臨床応用されており,良好な成績を収めている。しかしながら,糖尿病状態の歯周組織に再生療法を行なった場合の予後については依然,不明なままである。 本研究では2型糖尿病ラットの歯周組織欠損部に,塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)と脱タンパクウシ骨ミネラル(DBBM)を併用した歯周組織再生療法を行い,歯周組織再生に及ぼす影響を形態学的,組織学的に健常ラットと比較検討した。 糖尿病ラット,健常ラットの上顎臼歯部に外科的に作成したラット歯周組織欠損に対し,無作為にunfilled群(生理食塩水),FGF-2単独群,FGF-2+DBBM併用群に群分けした。術後4週でサンプルを採取し,マイクロCT撮影後,組織切片を作成した。 全ての手術部位において術後感染や術後合併症は認めなかった。FGF-2を応用することで健常群,糖尿病群ともに上皮の深行増殖が抑制された。新生骨形成に関しては,FGF-2応用で両群ともUnfilledと比較し,より多くの新生骨様構造物を認めた。FGF-2+DBBMを併用した群では,DBBM顆粒は線維性結合組織に取り囲まれていたが,明らかな骨の置換は認められなかった。両群で著明な新生セメント質の形成は認めなかった。 以上より,FGF-2+DBBMの併用療法は糖尿病状態において,限定的ではあるが,歯周組織再生に有効であることが示唆された。
|