2019 Fiscal Year Research-status Report
未分化細胞から骨細胞への分化過程を制御する遺伝子群の機能的解析
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19K19008
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
鈴木 瑛一 東京歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (50778503)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,Cre/loxP 発現制御システムを利用した遺伝子改変マウスを利用して,骨細胞特異的にEGFPを発現させたマウスを用いることにより,間葉系幹細胞から骨細胞への分化過程において特異的に発現する遺伝子の解明を目指す。加えて同マウスからiPS細胞を樹立し,骨系細胞分化時の変動遺伝子を詳細に解析することで,未分化細胞から骨細胞への分化・維持機構および,機能の制御機構の全容を明らかにすることを目的としている。 本年度は主に骨細胞特異型 EGFP発現マウスの作成を行い,遺伝子改変マウスより骨髄間葉系幹細胞 (BMSC) の採取ならびに骨細胞様細胞への分化誘導を行った。BMSCは骨分化誘導後2週間で培養細胞の一部にEGFPの発現を認めた。EGFP陰性細胞と比較して,EGFP陽性細胞では骨分化マーカーであるAlkaline Phosphatase, OsteocalcinのmRNA発現量の有意な亢進が認められた。EGFPを誘発するDmp1のmRNA発現は,EGFP陽性細胞でのみ認められ,陰性細胞では認められなかった。現在FACSを用いたフローサイトメトリーにて骨細胞様細胞の単離とDNAマイクロアレイによる遺伝子解析を行っている。 同時に遺伝子改変マウス由来iPS細胞の樹立も行っている。遺伝子改変マウス皮下組織より線維芽細胞を得たのち,Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Mycの4遺伝子を導入し,iPS細胞様の形態をもつコロニーを確認した。現在PCR法による未分化性の確認と,奇形腫の形成による多能性の確認を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調であるが,遺伝子改変マウスの出産,交配のタイミングならびに骨髄間葉系幹細胞の骨系細胞への分化誘導などに時間を要した。 現在では継続的に遺伝子改変マウスの作成を行っており,骨分化誘導も安定して行えるようになっている。 iPSの誘導に関しても、iPS細胞様の形態をもつコロニーが確認でき、骨分化誘導の試みも行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、FACSを用いたフローサイトメトリーにて継続して骨細胞様細胞の単離を行っている。今後はDNAマイクロアレイによる遺伝子解析により,骨分化へ関与していると考えられるいくつかの候補遺伝子を挙げ、さらに細かい解析と詳細な役割について検討していく。 フローサイトメトリーによる骨細胞様細胞の単離には、多量の細胞集団を得る必要があり、骨髄間葉系幹細胞の効率的な採取の方法や培養法は今後も検討していく必要がある。 iPSに関しては、未分化・多能性の確認が終わり次第、骨系細胞への分化誘導ならびに解析を目指していく。
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Causes of Carryover |
今年度行う予定であったマイクロアレイやリアルタイムPCR等による遺伝子解析の一部が次年度に持ち越したため、次年度使用額が生じた。次年度はさらに詳細な遺伝子解析を進める必要があり、プライマーやプローブ等に使用する予定である。また、継続してマウスより組織や骨髄間葉系細胞の採取が必要であるため、採取のための器材ならびに培養に必要な消耗品に主に使用する予定である。 加えて、今年度では国内外の学会での情報収集や研究発表を予定しており、その費用を計上している。
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