2021 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉線維芽細胞とマクロファージに対するIL-35の免疫調節能としての影響
Project/Area Number |
19K19010
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
岡田 康佑 愛知学院大学, 歯学部, 歯学部研究員 (00805343)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 歯周病 / IL-35 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病の病態として、マクロファージや線維芽細胞は、歯周病原細菌の菌体成分や代謝産物の刺激により、炎症性サイトカインやプロスタグランジン、コラゲナーゼ等を産生し、上皮の付着破壊や、歯槽骨吸収を引き起こし、歯周組織の破壊に深く関与していることが知られている。制御性T細胞より産生される新規の抗炎症性サイトカインであるIL-35は、免疫制御において非常に注目されており、IL-35がTh17細胞分化を抑制し、コラーゲン誘導性関節炎を抑制することや、慢性関節リウマチ患者において血清中IL-35濃度が低い患者ほど症状が重度であること が報告されており、慢性炎症性疾患において過剰な炎症反応を制御し組織破壊の抑制に関与しているのではないかと考えられている。また、申請者のグループは歯周病患者において健常者と比較し、歯肉溝滲出液中のIL-35濃度が有意に増加しており、歯周病の重症度と正の相関を示すことを報告した 。このことからIL-35は、歯周病病態において過剰な炎症に反応して産生され、歯肉線維芽細胞やマクロファージに対して過剰な炎症反応を制御する免疫調整能の働きをしているのではないかと考え、本研究を着想するに至った。実験方法は、IL-35がマクロファージおよび歯肉線維芽細胞に与える影響をマウス由来マクロファージ様細胞(RAW264.7細胞)およびマウス歯肉線維芽細胞を用い、組織学的解析を行った。実験結果として、RAW264.7細胞およびマウス歯肉線維芽細胞にP. gingivalis由来のLPS刺激を行うことにより、歯周病病態を再現した。結果は、RAW264.7細胞においてLPS刺激によりサイトカインであるIL-1b、IL-10、Timp1の遺伝子発現が有意に上昇した。また、LPSとrIL-35を添加することによりLPS単独刺激をした群と比較して、Timp1の遺伝子発現が有意に上昇した。
|