2019 Fiscal Year Research-status Report
シアリダーゼのムチン分解による生理的口臭産生の基礎的検討
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19K19012
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
岩村 侑樹 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (90783035)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口臭 / 唾液ムチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シアリダーゼによりVSC産生菌によるムチン代謝が進むことにより口臭産生が促進されるのではないか?という仮説に基づき、in vitroの実験系と臨床サンプルの分析の2つの研究から、シアリダーゼによるムチン分解の促進と、VSC産生の関係について検討を行うこととしている。 まず、シアリダーゼの存在が口臭ガス産生量や速度にどの程度関与しているかを検討するため、P. gingivalis によるムチン分解系にシアリダーゼやシアリダーゼインヒビターを加える実験を実施した。。その結果、P gingivalis にはシアリダーゼ産生能があるため、シアリダーゼを添加してもメチルメルカプタン濃度に有意な違いが認められなかったが、シアリダーゼインヒビターを添加したことでメチルメルカプタン濃度が減少したことから、シアリダーゼは揮発性硫黄化合物産生に関与している可能性が示唆された。 研究結果の一部のデータを使用し、2019年7月13日~14日に行われた日本口臭学会10周年記念大会にて「ムチン分解による揮発性硫黄化合物産生に対するシアリダーゼの影響」という演題名で学術発表を行った。また、2019年11月10日に行われた第14回日本歯周病学会中部地区大学・日本臨床歯周病学会中部支部合同研究会にて「若年層における唾液シアル酸濃度の日内変動と生理的口臭との関連について」という演題名で学術発表を行った。 さらに、愛知学院大学歯学部付属病院口臭治療科の患者データを一部使用し、愛知学院大学歯学部附属病院口臭治療科における口臭症患者の動向とエゴグラムの分析」という原著論文を日本口臭学会会誌に投稿し、2020年掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、ガスクロマトグラフィーによる口臭測定を実施予定であったが、修理不能のため、簡易型ガスクロマトグラフィーを代用として用いた。また、口臭測定のin vitroデザインの参考文献がほぼ存在しておらず、実験手技の確立に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、生理的口臭患者の口臭強度と唾液中のムチン濃度およびシアリダーゼを始めとする各種酵素(シアリダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ジンジパイン)活性の間に相関が認められるかを検討する事を目的に、唾液サンプルを採取予定であった。しかし、現在新型コロナウイルスの流行により、リクルートがほぼ不可能な状態となっている。新型コロナウイルスの流行収束の時期は未定の為、シアリダーゼ単独ではなく口臭産生に関与している可能性が高い各種酵素を同時に投与することによる口臭産生能の変化を検討し、in vitro研究の充足を図る予定である。
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Causes of Carryover |
豚ムチンを用いた研究では、ムチン分解におけるシアリダーゼの影響と、それに続く口臭ガス産生について検討する。まず滅菌PBSで希釈した豚ムチン溶液にシアリダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ジンジパインなどの各種酵素各種酵素を添加し、37℃で一定時間インキュベートし、分解状況をSDS-PAGEした後、糖タンパク質をPAS染色して分析する。 生理的口臭患者の口臭強度と唾液中のムチン濃度およびシアリダーゼを始めとする各種酵素(シアリダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ジンジパイン)活性の間に相関が認められるかを検討する事を目的に愛知学院大学歯学部附属病院口臭治療科に来院する口腔内および耳鼻咽喉部に病的疾患がない生理的口臭患者の歯周疾患の状態(歯周組織検査)、口腔清掃状態(O'Leary’s PCR)、VSC濃度(簡易型ガスクロマトグラフィー)、舌の湿潤度(ムーカス)、舌苔の程度の評価(ShimizuらのTongue Coating Index)、交感、副交感神経の活 性レベル(加速度脈波計)などの臨床データの収集と3分間の刺激唾液のサンプリングを行う。唾液サンプルの分析として唾液中総菌数、唾液成分(糖濃度、シアル酸濃度、タンパク濃度、コルチゾール濃度)、唾液中酵素(ジンジパイン、β-ガラクトシダーゼ、シアリダーゼ)活性、ムチン(MUC7、MUC5B)濃度の測定を行い、口臭強度との相関解析を行う。
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