2020 Fiscal Year Research-status Report
シアリダーゼのムチン分解による生理的口臭産生の基礎的検討
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19K19012
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
岩村 侑樹 愛知学院大学, 歯学部, 歯学部研究員 (90783035)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口臭 / 唾液ムチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、シアリダーゼによりVSC産生菌によるムチン代謝が進むことにより口臭産生が促進されるのではないか?という仮説に基づき、in vitroの実験系と臨床サンプルの分析の2つの研究から、シアリダーゼによるムチン分解の促進と、VSC産生の関係について検討を行っている。 今年度はシアリダーゼがムチンの分解にどのように関与しているのかを検討するため、シアリダーゼ、シアリダーゼインヒビター、β-ガラクトシダーゼを作用させ、SDS-PAGEにてその分解の状態を調査した。SDS-PAGE後、タンパク質染色であるCBB染色を用いて分解状態の調査を行ったところ、シアリダーゼやβ-ガラクトシダーゼを添加する事で分解が促進し、シアリダーゼインヒビターを添加する事で分解が抑制される事が判明した。 また、愛知学院大学歯学部付属病院口臭治療科の患者データを一部使用し、愛知学院大学歯学部附属病院口臭治療科における口臭症患者の動向とエゴグラムの分析」という原著論文が日本口臭学会会誌に掲載された(日本口臭学会学会誌, 11(1): 39-46, 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SDS-PAGE後の糖タンパク染色を実施するためPAS染色キットを購入したが、COVID-19の影響で海外からの試薬の搬入に予想以上の時間を要した。また、臨床サンプルの分析についてはCOVID-19の影響により、生理的口臭患者のリクルートが順調に進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の流行収束の時期は未定の為、今後も生理的口臭患者のリクルートが順調に進まない事が予測される。その為、in vitro研究の充足が必要だと考えている。間もなく到着予定であるPAS染色キットを用いた糖タンパク質の分析と、抗MUC5B抗体、抗MUC7抗体によるウエスタンブロッティングを実施予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行に伴い、in vitro研究および臨床研究の進行が遅れているため、次年度も試薬および物品の購入が必須である。 豚ムチンを用いた研究では、ムチン分解におけるシアリダーゼの影響と、それに続く口臭ガス産生について検討する為、PAS染色キットを用いたムチン分解状況の確認と口臭ガス産生量の再検討予定である。 生理的口臭患者の口臭強度と唾液中のムチン濃度およびシアリダーゼを始めとする各種酵素(シアリダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ジンジパイン)活性の間に相関が認められるかを検討する事を目的に愛知学院大学歯学部附属病院口臭治療科に来院する口腔内および耳鼻咽喉部に病的疾患がない生理的口臭患者の歯周疾患の状態(歯周組織検査)、口腔清掃状態(O'Leary’s PCR)、VSC濃度(簡易型ガスクロマトグラフィー)、舌の湿潤度(ムーカス)、舌苔の程度の評価(ShimizuらのTongue Coating Index)、交感、副交感神経の活性レベル(加速度脈波計)などの臨床データの収集と3分間の刺激唾液のサンプリングを行う。唾液サンプルの分析として唾液中総菌数、唾液成分(糖濃度、シアル酸濃度、タンパク濃度、コルチゾール濃度)、唾液中酵素(ジンジパイン、β-ガラクトシダーゼ、シアリダーゼ)活性、ムチン(MUC7、MUC5B)濃度の測定を行い、口臭強度との相関解析を行う。
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Research Products
(1 results)