2023 Fiscal Year Annual Research Report
RNA-Seq解析を用いた高齢マウスにおける歯周炎関連骨吸収因子の同定
Project/Area Number |
19K19015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大方 広志 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (70709138)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実験的歯周炎モデル / 網羅的遺伝子解析 / 歯槽骨吸収 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実験的歯周炎モデルマウスを用いて、歯周炎により歯槽骨吸収を起こした組織に発現している遺伝子を網羅的に解析し、高齢マウスと若齢マウスとで比較検討を行い、高齢と若齢とで、歯周炎による歯槽骨吸収の分子メカニズムの違いを調べ、加齢が歯周炎関連骨吸収に与える影響を明らかにすることを目指した。 初めに、6-0絹糸を用いてマウス上顎左側第二臼歯を結紮し、実験的に歯周炎を誘導するモデルを作製した。次に、生後10週齢(若齢)と生後78週齢(高齢)のマウスを用いて実験的歯周炎を起こし、結紮後10日でマイクロCT撮影を行い、骨吸収量を三次元的に解析した。その結果、健常群より歯周炎群で、若齢群より高齢群で骨吸収量が有意に増加することがわかった。さらに、結紮後10日で網羅的遺伝子解析を行い、発現変動遺伝子を抽出してGO解析を行った。その結果、歯周炎群において炎症関連遺伝子が増加し、高齢群において免疫関連遺伝子が増加することが明らかになった。また、結紮後10日における破骨細胞の出現についても比較検討を行った。第二臼歯が含まれるパラフィン切片を作製し、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)染色を行い、破骨細胞数を調べ、統計学的に検討した。その結果、破骨細胞の数は炎症に対して有意に影響したが、加齢には影響しなかった。また、破骨細胞のマーカー分子であるMMP-9と歯周組織の細胞外マトリックス分解に寄与するMMP-13の免疫染色を行い、健常群と歯周炎群とで比較検討を行った。その結果、MMP-9は歯周炎に起因する歯槽骨吸収に関与することが示され、MMP-13は歯周炎に伴う根尖部セメント質の改造に寄与する可能性が示唆された。
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