2019 Fiscal Year Research-status Report
フッ化ジアミン銀、ヨウ化カリウム、フラボノイド併用によるう蝕予防・治療効果の検討
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19K19017
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
津田 優香 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (70815381)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フッ化ジアミン銀 / う蝕 / 根面う蝕 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会の日本において、歯科保存学の発展により残存歯数が増えたものの、残存歯の根面う蝕の多発が問題となっている。根面う蝕の進行は、歯の破折やそれに伴う歯冠の喪失の原因ともなり、高齢者の口腔内での大きな課題の一つだ。しかし、寝たきりや認知症患者においては、口腔清掃不良や治療への協力が得られない症例も少なくないため、簡便かつ効果的な治療法が求められる。 フッ化ジアミン銀は銀イオンとフッ化物両者の長所を持ち、高いう蝕抑制効果から小児の多発性う蝕において長年使用されていたものの、塗布した歯が黒くなるという欠点があり、審美的要求の高まりから、使用頻度が減少している。しかし、近年の研究でフッ化ジアミン銀塗布直後にヨウ化カリウム溶液を塗布することにより歯質を黒変させずに、細菌数の減少に効果を発揮することが報告された。審美的かつ簡便に根面う蝕治療及び予防に応用できるのではないかという期待の反面、銀イオンがヨウ化カリウムと反応し、結晶化することにより、フッ化ジアミン銀単体使用時よりう蝕抑制効果が劣る可能性が考えらる。そこで、更にフラボノイドの併用によってフラボノイドのコラーゲンの保護効果、それによるコラーゲンを足場にした石灰化を期待している。 研究を進めるに従い、毎日のブラッシングがフッ化ジアミン銀塗布後の歯の色調に影響を与える可能性が考えられたため、ブラッシングの影響も検討内容に含めた。ブラッシングの継続は、フッ化ジアミン銀による変色を抑制する効果がある反面、ヨウ化カリウム溶液を塗布した場合の細菌抑制効果を減少させる可能性が考えられた。フッ化ジアミン銀塗布及びそれに続くヨウ化カリウム溶液塗布はブラッシングによる象牙質の摩耗を防ぐ効果があることも示唆された。また、使用するフラボノイドの種類によっては、ヨウ化カリウム溶液の塗布をしても歯が変色してしまう場合がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの流行前に、主たる実験をほぼ終えることが出来たため、発表を希望していた学会の中止等はあったものの、論文執筆に切り替え、研究活動を進めることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた研究結果の学会発表及び論文発表。 フラボノイドの効果と色調変化の検討。
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Causes of Carryover |
実験材料の多くを施設内備品から賄うことが出来たこと、国際情勢等の理由で海外での打ち合わせが困難になってしまったことが原因で次年度使用額が生じたが、今後は現在機器内に保管しているデータをHDDに移行することや学会に状況をみて参加すること、追加実験等で使用する予定である。
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