2019 Fiscal Year Research-status Report
侵襲性歯周炎の網羅的ゲノム解析-エクソームシークエンスとNOD2変異の機能解明-
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19K19019
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
須藤 毅顕 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (10821168)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 侵襲性歯周炎 / NOD2 / エクソーム解析 / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
侵襲性歯周炎は、早期に発症し急速な歯槽骨破壊を引き起こす特殊な歯周炎であり口腔内のQOLを著しく損なう疾患である。家族内集積性という特徴から遺伝要因の関与が示唆され、これまで多くの遺伝子研究が報告されているが、未だ不明な点が多い。申請者は、侵襲性歯周炎患者を含む2家系のゲノムDNAを用いたエクソーム解析を実施し、NOD2遺伝子内に新規遺伝子変異を同定した。自然免疫において重要な役割を担うNOD2は、グラム陰性菌の構成要素であるMDPを認識し、NF-κBを活性化することが知られている。しかしながら、申請者の同定したNOD2の新規遺伝子変異がNOD2タンパクおよび侵襲性歯周炎に及ぼす影響は分かっていない。本研究では、新規同定したNOD2 遺伝子変異がもたらす生体内での機能異常をin vitroな研究により検討し、疾患発症の分子メカニズムの解明を目的とする。また、NOD2遺伝子のみで遺伝要因の全てを説明できないため、新たな家系内罹患者の遺伝子解析による新たな疾患発症に寄与する遺伝子変異の同定を行い、遺伝学的診断のための新規バイオマーカーの樹立を目指す。 本年度の研究においては、東京医科歯科大学歯周病外来受診歴のある患者のカルテを網羅的に検索し、侵襲性歯周炎で治療中の患者を把握した。また血縁者に侵襲性歯周炎の発症者がいないか問診し、姉妹が発症している2サンプル、および発症している娘と未発症の父親の2サンプルについて、同意取得の後、同大学バイオリソースセンターを活用した検体採取およびゲノムDNAの抽出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予想より、侵襲性歯周炎罹患者の家系例が少なかったため、探索に期間を要した。またアメリカ歯周病学会とヨーロッパ歯周病学会で歯周炎の分類の再定義が行われたため、侵襲性歯周炎患者のリクルートを行う診断基準、パイプラインの構築も再検討を行った。トルコ人由来の侵襲性歯周炎サンプルを用いてNOD2領域のディープシークエンス解析も実施予定だが、共同研究先が倫理審査委員会の承認ならびにゲノム抽出を行っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずエクソーム解析は現在DNA抽出を行った4サンプルで実施し、NOD2領域の変異の有無ならびに新規遺伝子変異の探索を行う。NOD2領域のディープシークエンス解析は、サンプルが届き次第解析を実施する予定である。また再構築したパイプラインに沿って、新規侵襲性歯周炎罹患者の探索、サンプリングと、コントロール群としての慢性歯周炎患者のサンプリングも進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究費は主にシークエンスにかかる試薬に計上予定だが、当初よりもサンプリングに時間を要したため、次年度に持ち越しとなった。次年度に家族例のエクソーム解析ならびにトルコ人由来侵襲性歯周炎のディープシークエンス解析の試薬および解析費用として使用予定である。
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Research Products
(2 results)