2019 Fiscal Year Research-status Report
リバスクラリゼーションにおける微小環境の解明:なぜ象牙芽細胞が分化しないのか
Project/Area Number |
19K19020
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
枝並 直樹 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80804567)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リバスクラリゼーション / 根尖性歯周炎 / オステオデンティン / セメント質 / 歯根膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、リバスクラリゼーションで象牙芽細胞が分化しない原因の特定を目指している。当初の計画では、根管内に形成される微小環境、すなわち成長因子・細胞外マトリックス発現が不適当であることで象牙芽細胞分化不全が生じていると推察した。しかしながら、根尖性歯周炎発症歯の根尖部組織残存量が一様ではないと言う報告が成されている(Ricucci D et al. J Dent 2017)ことから、微小環境の影響に先立って、根尖部組織残存量の影響を解析する必要性があると考えた。そのため本年度は、様々な根尖部組織残存量の歯にリバスクラリゼーションを行い、治癒形態を観察した。その結果、根尖部組織残存量に応じて、①:象牙質とオステオデンティンの形成を伴うパターン、②:オステオデンティンのみの形成を伴うパターン、③:オステオデンティンとセメント質様硬組織の形成を伴うパターン、④:セメント質様硬組織と骨様硬組織の形成を伴うパターンの4パターンが生じる事が明らかになった。また、①と②のパターンでは歯髄細胞が、③と④のパターンでは歯根膜細胞が根管内軟組織を構築していた。この結果から、根尖部組織残存量が少ない場合には、歯根膜細胞による根管内軟組織の置換が生じることがリバスクラリゼーションで象牙芽細胞が分化しない原因であると言える。一方で、、根尖部組織が一定以上残存している場合には歯髄様組織が再構築されるものの、象牙質形成ではなくオステオデンティン形成に陥るケースがあることも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、リバスクラリゼーションの治癒過程における成長因子・細胞外マトリックス発現を解析することで、リバスクラリゼーション後に象牙芽細胞が分化しない原因の特定を行う事ができると考えた。しかしながら、根尖部組織残存量の差異を考慮する必要性があると考えられたため、予定の計画に先立って根尖部組織残存量の影響を解析した。結果として、当初の計画はやや遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果により、リバスクラリゼーション術前の根尖部組織残存量によって、象牙芽細胞分化を誘導するためのアプローチが異なる事が示された。根尖部組織が一定以上残存している場合に関しては、歯髄組織が再構築されており、微小環境次第で象牙芽細胞が分化するかどうかが決まっている可能性が高い。次年度は、根尖部組織が残存している条件に絞ってリバスクラリゼーションを行い、治癒過程における微小環境の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画がやや変更となったため、実験試薬の購入量が減少し、主に動物購入費のみに本年度予算が費やされれた。次年度は当初の計画に基づいた研究を行う予定であり、本年度の繰り越し分が使用される予定である。
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