2019 Fiscal Year Research-status Report
う蝕細菌由来の可逆性歯髄炎動物モデル確立による炎症歯髄創傷治癒メカニズムの解明
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19K19025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小道 俊吾 大阪大学, 歯学研究科, 特任研究員 (40804456)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | う蝕細菌由来可逆性歯髄炎ラットモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
直接覆髄の成功率について、動物実験では良好な結果が確立されている一方、臨床成績においては60-70%と明らかな乖離が認められる。この乖離の最も大きな要因の一つとして、これまで実施されてきた覆髄動物実験モデルは健全な歯に窩洞形成をおこない、健全な歯髄を 覆髄後に評価するものであることが挙げられる。つまり、従来の覆髄実験モデルでは実際の臨床に おいて覆髄処置の対象となる深いう蝕罹患歯に特有の歯髄充血状態や可逆性歯髄炎の病態が再現できておらず、創傷治癒過程を包括的に評価できていない。本研究は直接覆髄における臨床成績と既存の動物実験との乖離を解消するために、う蝕細菌由来可逆性歯髄炎ラットモデルの確立により可逆性歯髄炎病態を再現し、さらに DPSCsによる免疫調節機能に着目し「可逆性炎症歯髄と健全歯髄の間に、いかなる創傷治癒機序の差異があるか」という問いを究明することで可逆性炎症歯髄特有の歯髄創傷治癒メカニズムの解明を目指すものである。 主な研究目標は「う蝕細菌由来可逆性歯髄炎ラットモデルの確立」と「可逆性炎症歯髄の歯 髄創傷治癒メカニズムの解明」の2つであり、当該年度においては研究実施計画の前半である「う蝕細菌由来可逆性歯髄炎ラットモデルの確立」に焦点をあてた研究をおこなった。 すでにカリオロジーの分野で確立されているラットう蝕モデルを応用し(Nomura et al.Infect Immun. 2014, Ooshima et al. Caries Res. 1998)、前処置としての窩洞形成や播種する菌量、飼育期間等を検討することで、歯の特定の部位のみにう蝕病変を作成し、可逆性歯髄炎を惹起するモデルを確立することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主な研究目標は「う蝕細菌由来可逆性歯髄炎ラットモデルの確立」と「可逆性炎症歯髄の歯 髄創傷治癒メカニズムの解明」の2つであり、前半の「う蝕細菌由来可逆性歯髄炎ラットモデルの確立」については現時点では予定通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主な研究目標は「う蝕細菌由来可逆性歯髄炎ラットモデルの確立」と「可逆性炎症歯髄の歯 髄創傷治癒メカニズムの解明」の2つであり、前半の「う蝕細菌由来可逆性歯髄炎ラットモデルの確立」についてはある程度見通しがついた。今後は予定通り後半の「可逆性炎症歯髄の歯 髄創傷治癒メカニズムの解明」について研究をすすめる予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は購入物品の少ない実験系であったことより次年度使用額が発生した。次年度は免疫染色を始め試薬等の購入物品が増える予定なので、次年度使用額を有効に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)