2019 Fiscal Year Research-status Report
歯周病原細菌におけるRNA結合蛋白質Hfqによる病原因子制御機構の解明
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19K19027
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平井 公人 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10710171)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Hfq / A. actinomycetemcomitans / RNA binding protein / Cell adhision / biofilm formation |
Outline of Annual Research Achievements |
Aggregatibacter actinomycetemcomitansは菌体外多糖を合成して培養容器のプラスチック表面にも強固に付着できるバイオフィルムを形成することが知られているが,今回の研究では,hfq遺伝子を欠損させることで,顕著にバイオフィルムの形成能が低下することが明らかとなった。走査型電子顕微鏡(SEM)ではhfq遺伝子欠損株の菌体表面の性状は親株であるATCC29523株と比較して明らかな変化は観察されなかったが,hfq遺伝子欠損株では親株で観察されるような細菌が共凝集して密なバイオフィルムを形成している様子は観察されなかったことから,HfqがA. actinomycetemcomitansのバイオフィルムの成熟に関与していることが示唆された。 これまでにhfq遺伝子を欠損させることでA. actinomycetemcomitansの細胞侵入能が大きく低下することを報告してしたが,細胞進入時にHfqがどのような遺伝子の発現を制御しているのかは分かっていなかった。今回の研究で,歯肉繊維芽細胞(HGF-LT1 )または血管内皮細胞(HUVEC)へのA. actinomycetemcomitans感染実験において,hfq遺伝子欠損株は親株と比較してflp1,rcpA,rcpB,tadAは感染後2時間後と24時間後の両方で顕著に遺伝子の発現量が低下していたことから,A. actinomycetemcomitansが細胞内へ感染する際にHfqがこれらの遺伝子の安定化を制御している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属組織ではCOVID-19感染拡大予防のために,新規の動物実験を中止しているため,動物実験の進行に遅れが生じている。 Hfqと複合体を形成しているmRNA/sRNAを抽出する技術の確率に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
標的タンパク質であるHfqはRNA結合タンパク質であり,複合体を形成しているRNAを免疫沈降法によって採取し,HfQがどのようなsRNAを利用してAggregatibacter actinomycetemcomitansが宿主の細胞に感染する際に遺伝子発現を調節しているのかを調査する。 またHfqにより発現が調節されているタンパク質を質量分析(LC-MS/MS)によって,hfq遺伝子欠損株と親株を比較し網羅的に調査する。 A. actinomycetemcomitansは血管内に侵入し,口腔から遠隔の心内膜などに付着できる。血管内に感染した後の免疫細胞との反応にどのようにHfqが関与しているのかをマウスを用いたマウス背部皮下チャンバーモデルで調査する。これはマウスの背部皮下にステンレスワイヤーを用いて成型したコイルを埋入して,創部の治癒を待った後にコイル内に細菌の懸濁液を注入し免疫細胞との反応を観察する手法である。
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Causes of Carryover |
昨年度購入物品で予定よりも安価で購入できた物品があったため。 次年度使用額は少額であり,購入予定消耗品の数量などによって調整可能である。
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Research Products
(1 results)