2020 Fiscal Year Research-status Report
低酸素環境で刺激された幹細胞由来エクソソームを用いた新たな骨再生
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19K19050
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂口 晃平 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (70801455)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 低酸素 / 細胞外膜小胞 / エクソソーム / 骨再生 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1%酸素濃度の低酸素条件で培養した間葉系幹細胞から分泌されたエクソソームおよび21%酸素濃度で培養時のエクソソームをラット頭蓋骨骨欠損モデルに投与して骨再生能を比較した。Wistar/ST ラット8 週齡雄にトレフィンバーを用いて直径5mmの頭蓋骨骨欠損を作成し、アテロコラーゲンスポンジ(テルダーミス)を足場としてエクソソームを欠損作成部位に投与した。投与後4週または8 週にて検体を回収し、μCT を撮影しX 線学的に、組織切片を作成して組織学的に骨形成量を評価した。得られたμCT画像から新生骨形成率を算出したところ、投与後4週、8週いずれにおいても低酸素条件のエクソソームの方が新生骨形成率がおおきかった。また、組織学的には低酸素条件の群の方が、成熟した骨形成をみとめた。Von Kossa染色で石灰化部位の面積を定量し群間で比較したところ、低酸素条件の群の方が、石灰化面積がおおきかった。さらに、川本法により凍結切片を作成し、血管内皮細胞のマーカーであるCD31,ペリサイトのマーカーであるNG2の抗体を用いて免疫組織化学的に評価した。低酸素条件群では、CD31による管腔構造をみとめその周囲近傍にNG2の発現をみとめ、比較的成熟した血管が構築されている可能性が考えられた。低酸素条件下で培養された間葉系幹細胞から分泌されたエクソソームは血管新生をうながし、骨再生を促進する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともない、物品の納入が遅れたり、研究業務が中断となったりとやや遅滞が生じた。本年度の実験結果により低酸素環境によって培養された間葉系幹細胞が分泌するエクソソームは、ラット頭蓋骨欠損モデルにおいて血管新生を亢進し骨再生を促進した。今後は、エクソソーム内の核酸のプロファイリング、クラスター解析を継続し、低酸素条件があたえる影響を評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
■低酸素条件エクソソームからRNAを回収した後、マイクロアレイを行いmiRNA発現プロファイリングを行う。作成されたmiRNAプロファイルどうしを比較して、高く発現していたものを骨再生に有効なmiRNA候補として選定する。選定されたmiRNAに関してmiRNAの機能解析として、miRNAインヒビターを用いmiRNAの機能を抑制、他方でpCMV-MIRプラスミドを用いmiRNAを過剰発現させて、骨形成関連遺伝子発現や細胞動態の変化、ラット頭蓋骨欠損モデルで骨再生能を検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による流通の麻痺、遅滞から、予定していた消耗品の購入が一部困難であった。次年度に購入を行い、in vitro、in vivoいずれの実験においても使用して結果を蓄積していく予定である。
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