2021 Fiscal Year Research-status Report
低酸素環境で刺激された幹細胞由来エクソソームを用いた新たな骨再生
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19K19050
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂口 晃平 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (70801455)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低酸素 / 細胞外膜小胞 / エクソソーム / 骨再生 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1%酸素濃度の低酸素条件で培養回収した間葉系幹細胞由来のエクソソームをラット頭蓋骨欠損モデル(直径5mm)に投与したところ、micro-CTで欠損部における新生骨形成率が21%酸素濃度の条件で培養回収したエクソソームと比べて高く、組織学的に欠損部に早期の新生骨形成が観察された。また、リンパ球など炎症細胞の浸潤はみられなかった。欠損断端の近傍ではCD31陽性細胞による管腔形成がみられるとともにCD163陽性マクロファージの集積をみとめた。CD163陽性マクロファージは抗炎症効果を発揮するマクロファージのサブタイプM2として考えられており、同エクソソーム、その中に含有されているmiRNAなどの核酸は抗炎症マクロファージを誘導する作用を有している可能性が考えられた。低酸素刺激が組織再生、修復に有利な環境を整備する因子の生成分泌を誘導する作用がある可能性が示唆された。 1%酸素濃度の低酸素条件で培養した間葉系幹細胞から分泌されたエクソソームおよび21%酸素濃度で培養回収した際のエクソソーム、それぞれからRNAを回収した後、マイクロアレイを行いmiRNA発現プロファイリングを行った。それぞれ多数のmiRNAが含まれていることが明らかとなったと同時に両者のプロファイルが異なっていることが明らかとなった。血管新生に対する効果が報告されているmiRNAが含まれている一方で、役割が未知なmiRNAも多数認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともない、物品の納入が遅れたり、研究業務が中断となったりとやや遅滞が生じた。本年度の実験結果により低酸素環境によって培養された間葉系幹細胞が分泌するエクソソームは、通常条件で回収されたエクソソームと比較した核酸プロファイリング、クラスター解析で違いがあることが明らかとなった。今後はエクソソーム内のmiRNAの機能解析をすすめていく。
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Strategy for Future Research Activity |
エクソソームに含まれるmiRNAの機能解析を継続して行っていく。miRNAインヒビターを用いてmiRNAの機能を抑制、他方でpCMV-MIRプラスミドを用いmiRNAを過剰発現させて、骨形成関連遺伝子や血管新生関連遺伝子の発現、細胞の増殖能や遊走能、生存率、分化能などの変化に関して調べる。動物実験ではラット頭蓋骨欠損モデルを用いて、アテロコラーゲンを足場として局所投与を行い骨再生能の変化も検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による流通の麻痺、遅滞から、予定していた消耗品の購入が一部困難であった。次年度に購入を行い、in vitro、in vivoいずれの実験においても使用して結果を蓄積していく予定である。
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Research Products
(2 results)