2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K19055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安波 礼之 九州大学, 歯学研究院, 助教 (00758021)
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Project Period (FY) |
2020-03-01 – 2023-03-31
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Keywords | MRONJ |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国においては、人口の急速な高齢化に伴い、骨粗鬆症患者が年々増加しており、その人数は約 1300 万人と推測されている。一般的に骨粗鬆症治療薬とし て、ビスフォスフォネート製剤(BPs)が用いられているが、副作用として、難治性の骨露出を特徴とする BRONJ(bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw)が生じることが問題となっている。また、BPs とは異なる作用機序で骨吸収を抑制するデノスマブによっても顎骨壊死が生じることが報告され、現在では、 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死 (MRONJ:medication-related osteonecrosis of the jaw)という用語が用いられている。 この MRONJ は顎骨に特異的に発症するた め、歯科分野において大きな問題となっている。MRONJ の危険因子としては歯科外科処置、顎骨への感染等が挙げられるが、原因が十分に解明されていないのが 現状である。MRONJ発症の仮説として、局所の炎症→骨吸収→骨内BPの遊離→周囲の細胞の増殖抑制、アポトーシス誘導と考えられており、一度発症すると治癒 は極めて困難であること、また治療法が確立されていないことが問題視されている。そこで、申請者はスタチンの多面的作用である、抗炎症・抗菌作用、血管新 生促進作用、口腔軟組織治癒促進作用、骨形成促進作用に着目し、スタチンによりMRONJの治癒を促進するのではと考えた。そこで、スタチンの多面的作用を用 い、スタチンを局所投与することによりMRONJの治癒を促進するという仮説を立て、スタチンのMRONJに対する治療効果について検証することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MRONJ 様ラットの作製において、生食群は全数において抜歯窩の完全な上皮化を認めたが、ZA+Dex 群において完全な上皮化を認めるものはおらず、顕著な骨露 出を認めた。また、マイクロ CT像においては ZA+Dex 群において抜歯窩における骨の新生は認められなかった。4週齢雌性 Wistar 系ラットに対し、ZA および Dex を投与することによって MRONJ 様 ラットを作製することが可能であることを確認した。 また、免疫蛍光染色によりM1マクロファージのマーカーであるTNF-αがMRONJ発症部位周囲に集積を認めた。 上記のようにMRONJ様ラットの作製に成功しており、今後MRONJに対する治療効果の検討を行える状況であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこの MRONJ 様ラットが全身的にまた局所的にどのような状態であるかを確認後、MRONJ に対する治療法について模索していく予定である。また、ビスホスホネート製剤の投与によって、M2/M1比のダウンレギュレーションがみられるとの報告があるため、マルロファージの関与にも着目して研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
MRONJモデルラットの作成及びデータ解析を行っており、治療効果を検証する本実験は今年度行う予定にしているため、次年度使用額が生じたと考える。
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