2019 Fiscal Year Research-status Report
マウス線維芽細胞へのダイレクトリプログラミングによる唾液腺の誘導
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19K19057
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
行森 茜 昭和大学, 歯学部, 助教 (60813748)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 唾液腺 / ダイレクトリプログラミング / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では唾液腺再生技術の開発を目指し、マウス線維芽細胞から唾液腺細胞へのダイレクトリプログラミング技術の開発に取り組んでいる。2019年度はマウス胎児線維芽細胞(MEF)への候補遺伝子の導入と、遺伝子導入された細胞の形態学的解析・RNA発現解析を行った。具体的な内容は以下の通りである。 候補遺伝子を導入するためのレンチウィルスベクターを作成し、MEFへの感染条件の検討を行った。候補遺伝子については表皮細胞への分化に関連するTP63/Tfap2a/c-myc/Grhl2の4因子と、唾液腺への分化に関連するSox9/Foxc1の2因子の計6因子を候補遺伝子とした。手法としてはレンチウィルスを3回感染させることによってウィルスはMEFに高効率に感染可能となることを確認した。 上記の4因子、ないし6因子を導入したMEFを培養し、観察した。形態学的には4因子導入群、6因子導入群ともに、培養細胞にはコロニー形成が認められた。継代の有無(P0とP2)によって細胞形態に大きな差は認められなかった。上記6因子と上皮マーカー(K5、K14、E-cadherin)のRNA発現解析を行った。RNA発現解析では遺伝子導入した導入遺伝子の発現を認める一方で、4因子導入群、6因子導入群ともにE-cadherinの発現はごくわずかで、K5とK14の発現は認めなかった。今後、上皮細胞を選択培養可能な培地の使用を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に予定されていた内容である、マウス線維芽細胞の単離と培養や、候補遺伝子の導入に必要なレンチウィルスベクターの作成、線維芽細胞への遺伝子導入に取り組むことができた。候補遺伝子としてTP63/Tfap2a/c-myc/Grhl2/Sox9/Foxc1の6因子を選択し、レンチウィルスベクターを用いたMEFへの感染条件を検討した。また上記の4因子ないし6因子を導入したMEFを観察し、形態学的解析やRNA発現解析を行った。おおむね予定通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子導入したMEFの形態学的解析、RNA発現解析を引き続き行い、ダイレクトリプログラミングの有無を検証していく。4因子の導入を中心に行い、上皮への高効率なリプログラミング条件を検討する。 また4因子の導入での上皮リプログラミング後に唾液腺関連遺伝子の導入をする、2段階でのリプログラミングについても検討する予定である。 ダイレクトリプログラミングが確認されたら、リプログラミング細胞を用いての3次元培養や移植実験を行いin vitroおよびin vivoでの腺組織形成能について検証する。
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Causes of Carryover |
物品購入のタイミングの影響により次年度使用額が生じている。翌年度分と合わせ物品費に使用予定である。
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